2011 Fiscal Year Annual Research Report
高度好熱菌性油田細菌の原始的なアルカン代謝および生態に関する研究
Project/Area Number |
22380175
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森川 正章 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (20230104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鷲尾 健司 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教 (50241302)
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Keywords | 高度好熱性細菌 / アルカン代謝遺伝子 / 酢酸菌 / メタン菌 / ゲノム解析 / 栄養共生 |
Research Abstract |
本研究課題では、以下の二点を目的としている。 1.深部地下油田から単離した高度好熱性細菌Geobacillus thermoleovorans B23の生化学的解析と全ゲノム解読を行い、そのユニークな原始的アルカン代謝機構および関連遺伝子構造の全容を解明することによって「生命の高温環境起源説を傍証」する。 2.深部地下油田環境中の高度好熱性酢酸菌Coprothermobacter属細菌PM9-2の諸特性解析およびメタン菌を中心とした「光エネルギーに依存しない深部油田微生物圏の栄養共生関係」を探る。 23年度の成果概要: 1の課題については、既に全ゲノム解析を終了した。23年度ではその精密な遺伝子解析の結果、新規アルカン代謝遺伝子群が3組存在することを発見した。さらに、これらのうちの一つの遺伝子について常温性アルカン分解細菌でも機能することを相補性試験により確認した。すなわち、研究の最終目的である同遺伝子群の進化を解析するための重要な手がかりを得ることができた。 2の課題については、高度好熱性酢酸菌の酢酸生成に関わる培養条件を検討した。続いて、同細菌の単離源であるマレーシア海底油田からの試料取得を計画したが許可を得ることができなかった。そこで、微生物寄託機関から高度好熱性メタン菌を取得し、共培養実験の準備を進めた。その結果、両者が同時に生育可能な最適培養条件を決定した。これで次年度に計画している、深部油田における栄養共生関係の実証実験のための準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
高度好熱性アルカン分解細菌Geobacillus thermoleovorans B23のゲノムを精密に解析した結果、本研究推進のために重要な役割を担うアルカン代謝遺伝子群の候補が3組あることを発見した。また、そのうち一つの遺伝子機能を確認することにも成功した。これは当初計画を越えた成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では高度好熱性アルカン分解細菌と高度好熱性酢酸菌を対象として研究を推進している。前者においては、当初計画通りに新規アルカンヒドロキシラーゼの多様性とその機能について解明を目指す。後者については、好熱性メタン菌との共生作用について検討を進める。メタン菌についてはマレーシア海底油田からの取得を計画したが、先方の許可が得られないので微生物寄託機関から取り寄せた標準株を用いて研究を継続する。
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