2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22380176
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
津田 雅孝 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90172022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 顕 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (20343246)
永田 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (30237531)
大坪 嘉行 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教 (40342761)
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Keywords | 環境汚染 / 細菌 / メタゲノム / 分解酵素遺伝子 |
Research Abstract |
有害化学物質で汚染された土壌において、当該土壌での棲息細菌集団と各種分解酵素遺伝子群等の汚染化による経時的な変動様式を総合的に解析し、土壌細菌集団の人工的環境汚染物質添加に対する適応様式を解明することを目的とし、本研究では、3種の多環芳香族化合物(フェナントレン、ビフェニル、カルバゾール)を添加した人工的汚染化閉鎖系土壌をモデル系として、(i)メタゲノムの生物情報学的解析と、(ii)実際に分解能を示す各種の細菌株と分解酵素遺伝子群の取得・解析、を同時平行的に実施している。メタゲノムの塩基配列解析で、汚染土壌の微生物遺伝子プール内の各代謝パスウェイ帰属遺伝子存在量の経時的変動様式において、汚染化で大きく変動する代謝パスウェイ帰属遺伝子群並びに変動しない代謝パスウェイ帰属遺伝子群が見出され、土壌微生物集団は遺伝情報ポテンシャルを減少させることなく迅速に汚染環境に適応していたと示唆された。3種添加汚染物質を各々完全分解できる細菌株やその分解酵素遺伝子群一部除去誘導体株に、メタゲノムDNAライブラリーを導入し、導入株に各汚染物質の完全分解能の賦与や回復に関わるメタゲノム由来分解酵素遺伝子を担うDNA断片を多数取得したが、少なくとも一部取得遺伝子に関してその新規性が強く示唆された。また、汚染土壌から添加汚染物質を完全或いは部分的に分解可能な菌株を昨年度多数単離したが、そのうちの幾株かのゲノムのドラフト配列を決定した。さらには、本研究で一貫して使用している土壌をガンマ線滅菌後に、かつて汚染化土壌から回収していた微生物集団の接種と上記汚染物質の添加を実施し、その後の当該土壌微生物叢の経時的変動を検討するとともに複数時点での土壌メタゲノムを調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年3月の東日本大震災関連の被災により実験を2ヶ月以上完全に中断せざるを得ない状況に陥ったものの、その後の研究で遅れを取り戻した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究遂行に取り立てて障害となり得る問題点は見出されていない。研究開始以前には、汚染物質分解能を支配するプラスミドの水平伝播が汚染化土壌の浄化に大きく寄与すると想定していたが、この想定が本研究対象土壌では当てはまる可能性が低いと生物情報学的観点から示唆されたことから、平成24年度はプラスミド関連の研究に精力を注がないこととした。
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Research Products
(32 results)