2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質に存在する無益回路に着目したザゼンソウ温度センサーに関する研究
Project/Area Number |
22380184
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 菊一 岩手大学, 農学部, 教授 (50232434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 洋 岩手大学, 工学部, 教授 (10261463)
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Keywords | 発熱植物 / ザゼンソウ / 無益回路 |
Research Abstract |
ザゼンソウ(座禅草)は早春に花を咲かせるサトイモ科の発熱植物である。本植物の発熱は、肉穂花序と呼ばれる特異器官で観察されるが、興味深いことに、肉穂花序温度は、氷点下を含む外気温の変動にも関わらず、発熱により、その体温を20℃内外に維持することが明らかになっている。寒冷環境において"恒温性"を有する植物はこれまでザゼンソウ以外には見出されていない。本年度は、ザゼンソウ群落地にて種々の気温条件において発熱中のザゼンソウより肉穂花序をサンプリングすると共に、その代謝産物の変動についてメタボローム解析を行い、温度変動により特異的に誘導される物質の同定を試みた。その結果、無益回路を構成する代謝産物およびTCA回路に関連する代謝産物が温度変動により有意な変化を示すことが判明した。これらの結果を受けて、無益回路に関連する酵素活性測定法の確立に関する実験に着手した。一方、ザゼンソウ肉穂花序より得られたミトコンドリア画分を種々の温度に曝し、その呼吸活性を測定した結果、シアン耐性呼吸酵素活性の最適温度はザゼンソウ肉穂花序で観察される温度とほぼ一致することが判明した。さらに、ザゼンソウ由来のシアン耐性呼吸酵素タンパク質についてnano-LC/MS/MSによる解析を行い、同タンパク質に由来する特異的なペプチド断片を得ることに成功した。これまでのところ、これらの断片に含まれる保存性の高いシステイン残基はグルタチオン等による修飾は見いだされていない。これらの結果は、細胞質に存在する代謝回路(無益回路も含まれる)とシアン耐性呼吸酵素の両者が本植物の温度制御に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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