2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390003
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椿 一典 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50303897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉持 幸司 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (90408708)
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Keywords | 分子認識 / 可視化 / ポリアミン / 超分子化学 / スペルミジン / 蛍光色素 / 迅速定量 |
Research Abstract |
生体内ポリアミン類であるスペルミジン・スペルミンを認識し、高感度で迅速に定量する実用的な検出薬の開発を目的とし、今年度は(1)スルホンフタレイン母核を持つ化合物の最適化と(2)呈色型フェノールフタレイン母核から、蛍光応答型フルオレセイン骨格への変換の二つの課題に取り組んだ。 (1)スルホンフタレイン母核を持つ化合物の最適化。 前年度に母核をフェノールフタレインからスルホンフタレインに変換する事で、スペルミジンとの親和性を示す会合定数において約1万倍の向上を達成した。本化合物は感度的には目標とする数値を達成している。同じ生体内ポリアミン類であるカダベリンにも若干の応答を示しやや選択性に問題を持っていることは判っていたが、兎にも角にも実際に細胞を用いてスペルミジンの定量化が可能か否かを検討した。大腸菌を培養し大腸菌内のスペルミジン濃度を本法と従来法であるHLPC法とで比較検討した。その結果、生体内に存在する大量のカリウムイオンにスルホンフタレイン型分子が応答し、濃度を高く見積もってしまう事が判った。そこで系中にクリプタンドを共存させる事で、カリウムの影響を除外できることを見出し、本条件を用いる事でHPLC並みの感度での定量に成功した。 (2)蛍光応答型フルオレセイン母核への変換。 蛍光応答型にすることで、フローサイトメトリなどへの応用が考えられる。まず生体内の自家蛍光との吸収・発光の重なりを避けるため、近赤外領域に発光を示すフルオレセイン型の分子の開発に着手した。共鳴系を拡張するため単純にフルオレセインの両側、または片側にベンゼン環を拡張した化合物を合成したところ、予想通りに近赤外領域に発光を示す事が判った。本研究は既に論文の形にまとめる事ができた。蛍光量子収率の改善などの研究を引き続き行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画では呈色型と蛍光応答型の二つの機能性分子を合成し、生体内ポリアミン類の迅速定量をめざす予定であった。このうち呈色型では、HPLC並みの感度で大腸菌内のスペルミジン濃度の定量を達成した。蛍光応答型の分子ではスペルミジンに応答する分子の開発は途上であるが、近赤外領域に蛍光応答する分子群を見出す事が出来た。これらの分子はポリアミン類の定量以外にも幅広い利用が考えられ大きな展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
呈色型の分子については、大腸菌内のスペルミジンのみならず、他の生体サンプルの評価測定を行いたいと考えている。蛍光応答型の分子については、近赤外領域のみならず、合成した多数の蛍光色素を組み合わせ、マルチカラー化などにも取り組んでいく予定である。
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Research Products
(8 results)