2011 Fiscal Year Annual Research Report
流動性あるリン脂質自己組織化膜を用いた超高感度検出技術開発の基礎研究
Project/Area Number |
22390009
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90240944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 泰志 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (60336633)
葛谷 昌之 松山大学, 薬学部, 教授 (10082984)
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Keywords | リン脂質自己組織化膜 / 流動性 / プラズマ / ロタキサン構造 |
Research Abstract |
本研究は、既存の生体分子固定化技術とは異なり、流動性あるリン脂質自己組織化表面に環状分子を固定化することによりその位置の移動が可能なため、糸状分子とのロタキサン構造形成が可能となり、ロタキサン構造の形成による微量成分の高感度検出を目指す研究である。本年度は、リン脂質膜の流動性の評価、膜表面に固定化が可能なシクロデキストリン誘導体合成とその蛍光標識、およびフェナントロリン化合物の合成について検討を行った。リン脂質自己組織化膜の流動性評価として、脂肪酸を導入したリン脂質自己組織化膜を構築した後アルブミンを固定化し、そのアルブミンをフルオロセインでラベル化して、蛍光顕微鏡により移動速度の評価を実施した。蛍光強度の強さを指標として経時的な強度変化より移動速度を評価したところ、導入する脂肪酸量の増加に伴い移動速度が速くなる傾向が示され、細胞膜の流動性と類似した特徴を有することが示唆された。また、シクロデキストリンに複数のアミノ基を導入した化合物の合成に成功しており、そのうちの1つのアミノ基に蛍光物質であるCy3あるいはCy5を固定化した化合物の合成を実施し、目的物が得られることを確認し、化合物の大量合成を行っている。さらに、溶液中での2種類の蛍光標識したシクロデキストリン誘導体を用いたロタキサン構造形成によるFRET現象の確認を進めている。フェナントロリン化合物についても、アミノ基を導入した化合物の合成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)リン脂質自己組織化膜の流動性の評価により、流動性制御の因子として脂肪酸の導入量があることを見出しており、脂肪酸の種類による制御の可能性も期待される。 2)蛍光標識したシクロデキストリン誘導体の合成を終えており、溶液中でのロタキサン構造形成によるFRETの確認もめどが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)流動速度と脂肪酸量あるいは脂肪酸の種類との定量的な相関関係の確立を目指す。 2)蛍光標識したシクロデキストリン誘導体のリン脂質自己組織化膜上への固定化と、固定化によるリン脂質自己組織化膜の安定性への影響について明らかにする。 3)フェナントロリン誘導体に関しても蛍光標識体合成法の確立とFRET現象の確認を目指す。
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Research Products
(10 results)