2012 Fiscal Year Annual Research Report
流動性あるリン脂質自己組織化膜を用いた超高感度検出技術開発の基礎研究
Project/Area Number |
22390009
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90240944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 泰志 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (60336633)
葛谷 昌之 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (10082984)
山内 行玄 松山大学, 薬学部, 准教授 (10461378)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リン脂質自己組織化膜 / 流動性 / プラズマ / ロタキサン構造 |
Research Abstract |
本研究は、既存の生体分子固定化技術とは異なり、流動性あるリン脂質自己組織化膜表面に環状分子を固定化することにより、膜の流動性を活かし膜表面上での超分子の形成による超高感度検出技術の確立を目指すものである。具体的には、シクロデキストリンなどの環状分子を膜表面に固定化し、ポリエチレングリコールなどの糸状分子とのロタキサン構造を形成させ、環状分子に導入した蛍光分子間での蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による微量成分の高感度検出を目指す。本年度は、リン脂質自己組織化膜の調製条件による膜厚の変化および加熱処理による膜厚の変化について検討を行った。その結果、熱的に最も安定であったのは約10nmの厚さであり、リン脂質膜が3層重なった構造であることが明らかとなった。さらに、これよりも多層の場合は、加熱により2層ずつ脱離することも明らかとなった。また、シクロデキストリン誘導体としては、per-6-amino-β-cyclodextrinを合成した。本化合物は、各種溶媒に不溶であったため、3塩酸塩として、水溶性とした後、リン脂質自己組織化膜への固定化を行い、リン脂質に導入したステアリン酸との縮合反応が効率的に進行することを確認した。さらに、本化合物への低分子蛍光分子の導入として、dansyl chlorideとの反応を行い、目的物の生成を確認した。また、sodium 6-hydroxy-2-naphthalenesulfonateをper-6-amino-β-cyclodextrinに導入するため、sodium 6-(carboxy)methoxy-2-naphthalenesulfonateの合成も行い、シクロデキストリン誘導体との反応を進めている。一方、フェナントロリン化合物については、水への溶解性が低いため、水溶性の官能基導入の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)リン脂質自己組織化膜の流動性や熱的に安定な層数など物性部分については、十分な知見が得られている。 2)低分子蛍光物質で標識したシクロデキストリン誘導体の合成も大方終えており、自己組織化膜表面へのシクロデキストリン誘導体固定化も可能であることを明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)流動速度と脂肪酸の種類との定量的な相関関係の確立を目指す。 2)低分子蛍光物質で標識したシクロデキストリン誘導体のリン脂質自己組織化膜上への固定化と、FRET現象の確認を目指す。 3)フェナントロリン誘導体に関しては、水溶性の高い誘導体への変換を行うとともに、蛍光標識体合成法の確立を目指す。
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