2010 Fiscal Year Annual Research Report
中性子回折による創薬標的タンパク質のリガント認識機構の解明
Project/Area Number |
22390010
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
黒木 良太 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主席 (30391246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 俊一 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80195320)
玉田 太郎 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (50391248)
安達 基泰 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60293958)
大原 高志 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60391249)
栗原 和男 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (50354890)
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Keywords | 蛋白質 / 分子認識 / 水和 / 分子設計 |
Research Abstract |
平成22年度は、下記の2つの課題を重点的に実施した。 1.水素原子位置の決定を目的とした解析用タンパク質試料作製 i)ガン治療標的となるSer/Thrキナーゼ、ii)強毒性インフルエンザウイルス由来のノイラミニダーゼ、およびiii)薬剤耐性ヒト免疫不全ウイルス由来のプロテアーゼなどの創薬標的タンパク質の発現系構築および精製を試みた。キナーゼおよび薬剤耐性ウイルス由来プロテアーゼ試料は、大腸菌発現によって作製に成功し、さらにX線回折法による結晶構造解析を実施した。強毒性インフルエンザウイルス由来ノイラミニダーゼは、大腸菌およびブレビバチルス発現系を用いて発現を試みたが目的タンパク質を得ることはできなかった。そこで新たにβラクタマーゼを試料として作製し、X線による結晶構造解析を実施した。その結果、中性子解析に適した格子長を有する3種類のタンパク質結晶の取得に成功した。 2.大型結晶作製に向けての準備(タンパク質物性の改良) 中性子構造解析用の大型結晶試料の作製において、タンパク質分子の溶解度や分子の均一性の向上を目的として物性の改変を試みた。上記の課題のタンパク質について、分子内に存在する遊離型Cys残基を系統的に除去することにより、非特異的なジスルフィド形成の抑制に成功した。また化学的に弱いアミノ酸配列(Asn-Gly)におけるAsnを、Glnへ置換することによって、脱アミド化に伴うイソアスパラギン酸生成を抑制し、良質な大型結晶を得ることができた。
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