2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390018
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小林 俊秀 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 玲子 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 専任研究員 (60342747)
阿部 充宏 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (90415068)
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 協力研究員 (30311369)
牧野 麻美 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 特別研究員 (20373368)
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Keywords | 脂質プローブ / 脂質ドメイン / 脂質ラフト / コレステロール / スフィンゴ脂質 / 脂質の非対称性 / 免疫電子顕微鏡 / X線散乱 |
Research Abstract |
最近の結果は膜脂質はランダムに分布しているのではなく、特定の脂質が脂質に特徴的なドメインを形成することで細胞の機能の発現が保証されていることを示している。とりわけスフィンゴ脂質とコレステロールが形成する脂質ドメインである脂質ラフトは大きな注目を集めている。一方、リン脂質が形成する細胞表面の脂質ドメインについてはあまり分かっていない。 ホスファチジルグルコシド(PtdGlc)は最近発見された糖リン脂質で、白血病細胞HL60の顆粒球への分化やげっ歯類の脳の発達の際のアストロサイトの分化に関与している。PtdGlcはグリセロール骨格の1位にステアリン酸(C18:0)、2位にアラキジン酸(C20:0)を持つ単一分子種のみからなるユニークな脂質である。PtdGlcに特異的なモノクローナル抗体を用いた蛍光抗体法および免疫電子顕微鏡法により、われわれはPtdGlcがHL60細胞およびヒト肺上皮由来細胞A549の形質膜外層で特異的な脂質ドメインを形成していることを見出した。示差熱分析(DSC)により、グルコシルセラミド(GlcCer)と同様、天然型のPtdGlcは高い相転移温度を示すことが明らかになった。しかし、GlcCerと異なりPtdGlcは昇温の際と降温の際の相転移温度に大きな差は見られなかった。またDSCの結果からGlcCerはスフィンゴミエリン(SM)と混合するが、PtdGlcは混合しないことが示された。さらにDSCとX線小角散乱の結果はPtdGlcがホスファチジルコリンとも混合しないことを示している。これらの結果は他の脂質と混合しないという性質のためPtdGlcが形質膜上で特異な脂質ドメインを形成していることを示唆している。
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