2011 Fiscal Year Annual Research Report
CYPによる代謝活性化を伴う薬物有害反応の発現に関する研究
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22390020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋坂 章博 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (80420206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
山本 武人 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00376469)
伊藤 晃成 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30323405)
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Keywords | 療・福祉 / トランスレーショナルリサーチ / 蛋白質 / 薬剤反応性 / 臨床 |
Research Abstract |
【目的】特異的に発現する薬物誘発性肝障害およびStevens Jonson症候群等の薬物有害反応は、新薬開発にとって重大なリスクである。本研究は、特異的肝障害等の発現リスクを、創薬の初期段階で適切に予測するとともに、臨床試験においてそのリスクを評価可能な方法を確立することを目的とする。【方法】特異的肝障害は薬物がCYPによる代謝活性化に伴いタンパク質と共有結合し、これが最終的に抗原提示されることで障害が生ずるとの仮説のもとに、CYP3A4により代謝された後にCYP3A4に結合する成分のLC-MSIMSによる検出を試みた。CYP3A4精製酵素による再構築系を作成し、薬物と処理後、CYP3A4をトリプシン等の3種のペプチダーゼにより選択的に分解し、生成するペプチドをLC-MS/MSにて定量した。一方で、ヘパトサイトで肝障害を再現するモデルとして、TNF-α、IL-1β、INFγ、IL-6の4種のサイトカインを添加する系を構築し、種々の条件で薬物と処理することで、細胞死を測定した。【結果】CYP3A4の再構築系の作成に成功し、活性を確認した。最終的に、CYP3A4中のアミノ酸の70%の修飾の検出をLC-MS/MSで可能とし、薬物とのインキュベーション実験の結果、特定のペプチド断片が修飾されることを確認した。一方で、薬物の非存在下でも修飾が進行したりあるいは肝障害をおこす薬物と起こさない薬物で、修飾の程度に明確な差がないなど、肝障害のスクリーニング系としては課題も見出された。一方で、サイトカインを添加して細胞死を観察する方法は、比較的肝障害を引き起こす薬剤で細胞死の頻度の高い傾向が認められたため、現在、さらに評価する薬物を増やすとともに、in vivoへの外挿性を高める条件について探索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮説による肝障害の検出は選択性に問題があり、改善が難しい可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
一方で、新たに研究代表者が所属する研究室のin vivoの肝障害の研究で重要性が見出されたサイトカインを肝細胞に添加する系は、薬物反応性についてin vivoとin vitroの対応が見出されたことから、今後さらに定量的に研究を進行させて、実用的なスクリーニング系にすることを目指す。
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Research Products
(8 results)