2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 徹明 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 名誉教授 (40116059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 直人 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90420413)
矢守 隆夫 公益財団法人がん研究会, その他部局等, 研究員 (60200854)
三芳 秀人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20190829)
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Keywords | 抗がん剤 / 有機合成化学 / 構造活性相関研究 / 生物活性物質 |
Research Abstract |
化学療法剤による「がん」の治療は、外科手術、放射線治療と並ぶ、代表的な治療法の一つであるが、正常細胞と元は正常細胞であったがん細胞を薬剤に区別させるのは困難であり、副作用が多いことが問題点の一つである。このことから、新たな作用メカニズムを有する抗がん剤の開発が望まれている。研究代表者らは、熱帯・亜熱帯産のバンレイシ科植物より単離される抗腫瘍活性を示すポリケチドであるアセトゲニン類に着目し、それらをシードとする新規抗がんリード化合物の開発研究に取り組んでいる。 アセトゲニン類のラクトン環部分は酵素と相互作用する部位であると考えられており、その部位へフッ素原子を導入した誘導体を合成し、その生物活性を評価すれば、新規な抗がんリード化合物の創出に繋がるだけでなく、アセトゲニン類の作用機序の解明の一助になることが期待された。そこで平成23年度は、アセトゲニン類のラクトン環部分C35位のフッ素化アナログの合成に取り組んだ。 C35-フッ素化アナログは、テトラヒドロフラン環部分とラクトン環部分、そして両者を繋ぐリンカー部分をそれぞれ合成した後、連結する収束的な経路で合成することにした。まず、環上メチル基にフッ素原子を導入したラクトン環フラグメントの合成を検討し、市販の含フッ素ビルディングブロックを有効利用することにより効率的に合成することに成功した。次に、既に合成法を確立しているテトラヒドロフラン環部分とリンカー部位の連結を行った後、それに含フッ素ラクトン環フラグメントを結合させ、数工程を経て、目的のC35位にフッ素原子を有する3種のフッ素化アナログ(C35-CH2F-solamin、C35-CHF2-solamin C35-CF3-solamin)の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C35―フッ素化アセトゲニン誘導体の合成経路の確立に予定通り成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、確立することができた合成経路を用いて、生物活性試験に必要な量のサンプルの合成を行う。また、合成した誘導体を用いる研究分担者との共同研究により、ミトコンドリア複合体I阻害活性の評価、及びヒト培養がん細胞に対する増殖阻害活性の評価を実施する。
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Research Products
(14 results)