2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390025
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
武田 厚司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90145714)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 亜鉛 / 記憶 / 海馬 / ストレス |
Research Abstract |
亜鉛は脳機能に不可欠であり、亜鉛イオンとして機能するものが神経細胞のシナプス小胞内に高濃度で存在する(約300 μMとの報告があるが、その化学形態は不明)。亜鉛イオンは神経活動に伴いシナプス間隙に放出され、ダイナミックに脳機能を調節する。この神経はグルタミン酸作動性神経のサブタイプで亜鉛作動性神経とも呼ばれている。亜鉛作動性神経は学習・記憶ならびに精神活動に重要な役割を担うと考えられるが、その役割は十分には明らかにされていない。学習記憶を司る海馬では、貫通線維シナプス、苔状線維シナプス、シャーファー側枝シナプスの三シナプスで情報が処理されるが、いずれも亜鉛作動性神経を含む。苔状線維はすべて亜鉛作動性である。亜鉛作動性神経終末からグルタミン酸とともに放出される亜鉛イオンは、グルタミン酸受容体活性化により、カルシウムチャネルを介してカルシウムイオンとともに速やかにシナプス前神経とシナプス後神経に取込まれ、記憶に関与することを示してきた。一方、海馬はストレス応答にも関与する。ストレスは副腎からのグルココルチコイド分泌を増加させ、学習記憶を障害する。ストレスによる学習記憶の低下の一因としてグルココルチコイドを介したグルタミン酸作動性神経の活動亢進が考えられるが、シナプス亜鉛イオンの関与は明らかでない。本研究では、コルチコステロンは海馬CA1神経細胞を興奮させ、細胞内外で亜鉛イオンレベルを増加させ、記憶の分子基盤の一つと考えられている長期増強(LTP)を障害することを示した。さらに、高カリウム誘発過剰興奮モデルを用い、学習記憶障害に対するシナプス亜鉛シグナル過多の関与を検討したところ、海馬CA1錐体細胞において亜鉛イオンレベルが過剰に増加すると一過性に物体認識記憶が障害されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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