2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトiPS細胞の肝細胞及び胆管上皮細胞への分化と創薬研究への応用
Project/Area Number |
22390028
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大森 栄 信州大学, 医学部附属病院, 教授 (70169069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 民秀 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (40209581)
中村 克徳 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (20361363)
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Keywords | ヒト人工多能性幹細胞 / iPS細胞 / 肝細胞 / 胆管上皮細胞 / ヒトES細胞 |
Research Abstract |
本研究は、ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)を成熟した肝細胞及び胆管上皮細胞に分化し、創薬研究における探索動態試験に利用可能なモデル系を構築することを目的としている。医薬品開発の薬物動態試験において実験動物が多用されているが、種差が存在するためヒトへの外挿が困難である。一方、ヒト初代肝細胞や凍結肝細胞ではロット間差が大きく、良質の肝細胞を安定して入手することが難しいため、研究の障害となっている。iPS細胞は、体を作るあらゆる細胞に分化可能であり、増殖力に優れていることから、医薬品開発のための安定した細胞供給源として期待される。iPS細胞の肝細胞への分化は、ヒトiPS細胞をActivin A処理することで内胚葉に分化させ、dimethyl sulfoxideにて肝細胞に分化誘導し、oncostatin M、dexamethasone、hepatocyte growth factorによって成熟させる方法にて行った。この結果、分化させたiPS細胞は、肝細胞マーカー、薬物代謝酵素及びCYP3A4の誘導に関与する核内受容体や転写因子のmRNAの発現が認められた。さらに、DexamethasoneあるいはrifampicinによりCYP3A4の発現が、omeprazoleによりUGTIA1の発現が増加したことから、肝細胞と類似した薬物応答性を示す肝細胞様細胞へ分化したと考えられた。また、CYP3A4の特異的活性であるtestosterone 6β-水酸化活性も検出されたことから、CYP3A4が機能を有していることが明らかとなった。しかし、胎児肝細胞に発現しているα-fetoproteinが高発現していることや、rifampicinによるCYP3A4の誘導が弱いことなどから、まだ未成熟な肝細胞の性質を有していることが示唆された。
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Research Products
(8 results)