2010 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲティング能を有したアデノウイルスベクターの開発基盤研究
Project/Area Number |
22390030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水口 裕之 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50311387)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 遺伝子発現 / 遺伝子治療 / 抗体 / ポリエチレングリコール / 癌治療 |
Research Abstract |
本年度は、ターゲティング能を有したアデノウイルスベクターの開発を目的に、遺伝子工学的手法あるいは化学的手法の両観点からベクター改良研究を進め、下記の結果を得た。 (1) 細胞への結合を担うアデノウイルスの先端部分であるファイバーノブ領域を欠損させ、当該部位に任意のターゲティング分子(ペプチド配列等)を付与可能な新規アデノウイルスベクター系を開発した。 (2) 特異性に優れ、アデノウイルス外殻タンパク質への提示に適した新規ターゲティング分子の開発・同定を目的に、システインを欠損させた変異一本鎖抗体の開発を試みた。即ち、システインを網羅的に他のアミノ酸に置換したファージ一本鎖抗体ライブラリを構築した。現在、Epidermal Growth Factor(EGF)受容体に対する一本鎖抗体をベースに、目的の変異抗体の取得を行っている。 (3) ラクダ由来・可変重鎖抗体断片(VHH)をウイルス表面に提示したアデノウイルスベクターの開発を行い、目的抗原との結合をELISA法により解析した。その結果、提示されたVHHが結合活性を保持していることが明らかとなり、VHHを提示したアデノウイルスベクターを作製することに成功した。 (4) 遺伝子工学的手法を用いて、ビオチン化修飾のためのペプチド配列をヘキソン部位に特異的に挿入したアデノウイルスベクターを作製した。次に、アビジン・ビオチンの結合を利用して、ヘキソン特異的にポリエチレングリコールで修飾したアデノウイルスベクターを開発し、その遺伝子導入特性をin vitro、in vivo(担癌マウス)の両条件下で明らかにした。
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