2011 Fiscal Year Annual Research Report
ターゲティング能を有したアデノウイルスベクターの開発基盤研究
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22390030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水口 裕之 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50311387)
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Keywords | アデノウイルスベクター / ターゲティング / ファージ表面提示法 / ポリエチレングリコール / ファージライブラリ |
Research Abstract |
本年度は、ターゲティング能を有したアデノウイルスベクターの開発を目的に、遺伝子工学的手法あるいは化学的手法の両観点からベクター改良研究を進め、下記の結果を得た。 (1)標的組織にのみ高い親和性を有し、アデノウイルスカプシド上に提示可能な新たな機能性ペプチドの同定を目的に、ファージ表面提示法による機能性ペプチドのスクリーニング手法を改良し、ランダムペプチドを挿入した35型Adファイバーノブ全体をファージ表面に提示させたライブラリ系を作製した。今後は、本ファージライブラリを標的分子に作用させ、濃縮されたファージのゲノムシークエンスを解析することで、提示ペプチドのアミノ酸配列の同定を試みる。 (2)特異性に優れ、アデノウイルス外殻タンパク質への提示に適した新規ターゲティング分子の開発・同定を目的に、ラクダ由来・可変重鎖抗体断片(VHH)をウイルス表面タンパク質のpIXに提示したアデノウイルスベクターの開発と評価を行った。VHH提示アデノウイルスベクターはELISAで抗原特異的な結合能を示したが、抗原発現細胞への特異的な遺伝子発現を示さなかった。来年度は、この原因および改良法の開発を試みる。 (3)アビジン・ビオチンの結合を利用して、ヘキソン特異的にポリエチレングリコールで修飾したアデノウイルスベクターを開発し、その遺伝子導入特性をin vitro、in vivo(担癌マウス)の両条件下で詳細に見当した。その結果、当ベクター拡全身投与後腫瘍への集積を示す一方、遺伝子発現は制限され、ヘキソン修飾により遺伝子発現が抑制されることが示唆された。 (4)アデノウイルスベクターの全身投与時の副作用の原因となる免疫誘導能について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々なアプローチからターゲティング能を有したアデノウイルスベクターの開発を試み、開発基盤方法の確立に成功した。今後は、実際の機能評価が課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
各種改良型アデノウイルスベクターの機能を詳細に検討する。また、pIXに提示したVHHの機能保持を目的とした新たな抗原提示方法として、逆順化(retro化)したアミノ酸配列を用いる方法を検討する。そのため、retro化アミノ酸配列を有する改変型Adベクターの作製を試みる。retro化するアミノ酸配列としては、VHHとpIXの両者について検討する。
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Research Products
(17 results)