2013 Fiscal Year Annual Research Report
肝組織発生に必要な胚性肝中皮細胞由来の血管発生制御因子群の機能解析
Project/Area Number |
22390034
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横内 裕二 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特任教授 (60252227)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞組織 / 発生分化 / 再生医学 / 肝臓 / TGF-beta / WT1 / FoxA2 |
Research Abstract |
HCV/HBVキャリアが200万人を越える日本人の肝硬変/肝細胞ガンの発生率は今後急上昇することが確実である。従って、肝臓の再生医療の基盤となる肝臓の組織発生過程を理解することは、科学的社会的に極めて重要である。しかしこの肝組織発生に必須である肝血管の「血管由来因子」とその「発生機構」の研究はこれまでほとんど行われていなかった。(成果)我々は、前者がNeurturinとWnt9aであることを世界に先駆けて明らかにした。(着想の経緯)残された重要課題である「肝血管の発生機構」に関して、その制御因子の有力候補(FGF18, TGF-beta2,3)が肝中皮で発現していることを我々は既に見いだしている。(目標)そこで本研究計画では、これらの候補遺伝子群のシグナル伝達を阻害、異所性誘導させることで、肝血管を構成する細胞群におけるシグナルの作用点を明らかにする。 (実績) 肝組織発生におけるTGF-beta シグナリング経路の機能を明らかにするために、これまでにCre-driverとして、WT1-EGFPCre(胚性中皮特異的Cre driver), WT1-CreERT2 (前項の誘導型)、Tek-Cre (血管内皮細胞特異的Cre driver)の購入と繁殖、さらにFoxA2-GFP-CreER (内胚葉特異的誘導型Cre driver)の繁殖を行った。 またTGF-beta receptorのdominant negative formによるTGF-beta signalingの阻害とその細胞追跡を同時に行うためのeffector/receptor mouseとしてAi9-hALK5-KR-AT2 (略称 KRAT2)を、TGF-beta receptorのconstitutively active formによるTGF-beta signalingの異所性誘導とその細胞追跡を同時に行うためのeffector/receptor mouseとしてAi9-hALK5-TD-AT2 (略称 TDAT2)を、さらにコントロールとしてTGF-beta signalingに影響することなく細胞追跡のみをおこなうためtandem Tomatoを発現するように設計したreporter mouseとしてAi9-3tTom (略称3tTom)を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までに必要なCre driver および TGF-beta signalingの作用と細胞系譜追跡を同時に解析するためのreporter/effector 系統を確立した。しかしコントロール用系統として tandem Tomatoのみを発現する reporter系統 Ai9-tdTom3の開発の着手が様々な事情により遅れたため、現在、F0キメラマウスが確保できた段階である。 また、WT1関連の2系統の繁殖を続けてきたが2代目以降の繁殖がうまく行かない状態 (早死、食児)が6ヶ月ほど続きそれによりWT1関連2系統のCre driverマウスの必要数が不足している。
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Strategy for Future Research Activity |
コントロール用Ai9-tdTom3について F1マウスが5月下旬に得られる予定でありこれらを用いてさらなる繁殖と表現型を得るための交配を行う。 WT1関連の2系統の繁殖能の低下は近親交配を重ねた結果である可能性が高いため、B6Nと交配を行った結果、この2ヶ月の交配は順調に推移している。5月下旬にこれらのマウスを用いて表現型の解析を行う予定である。
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