2010 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンによる脳内神経回路の再構成が思春期に固有の社会行動を発現する機序の解明
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22390043
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌克 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90143239)
木山 裕子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60234390)
近藤 保彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (00192584)
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 講師 (20270671)
濱田 知宏 日本医科大学, 医学部, 助教 (90312058)
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Keywords | 遺伝子発現制御 / 部位特異性 / 視床下部腹内側核 / 内側視索前野 / 選択的細胞死 / エストロゲン / 性行動 / 性差 |
Research Abstract |
当初ラットで発見されその後ハムスター、スナネズミ、イタチ、モルモット、ヒツジ、サルで存在が確認された内側視索前野の性的二型核(SDN-POA)は実験的確証がないままヒトの性的指向に関わるとされてきた。さまざまな遺伝子改変により性的指向に変異を来しているマウスを使用することでSDN-POAの機能の理解が進むと考えたが、これまでマウスではSDN-POAの存否が議論されてきた。我々は今年カルビンジン28Kを標識タンパクとして使うことで、遺伝子改変マウスが戻し交配で数多く樹立されているC57BL/6Jのみならず、生殖内分泌研究に広く用いられているddNにおいてもラットと同様脳の形態形成の途上にエストロゲン受容体(ER)を介して雄型化するSDN-POAの存在をはじめて明らかにした(Orikasa & Sakuma, 2010)。今後性的指向に変異を来している遺伝子改変マウスにおいてSDN-POAの存在様式を検討する。一方、2005年に作成したERa0/BプロモータトランスジェニックラットでSDN-POAが特異的に標識されることを発見(Hamada & Sakuma, 2010)し、培養脳切片におけるSDN-POAの形成をタイムラプス蛍光顕微鏡映画の作成により、性差が従来提唱されてきた細胞死ではなく、細胞の移動によることを明らかにし2010年吉村賞受賞講演等で紹介した。また、新生仔ラット脳でエストロゲン作用により細胞移動に関わる遺伝子カスケードが活性化されることをDNAアレイ、リアルタイムRT-PCR、タンパクのレベルで明らかにした(論文作成中)。電気生理学的研究では脳による生殖内分泌機能調節の最終共通路であるGnRHニューロンがEGFP発現により可視化されたトランスジェニックラット(2003年に作出)を用いて、電位依存性カルシウムチャネルの発現パターンが思春期に変化することを示した(Tanaka et al., 2010、本論文は2010年生理学会入澤記念論文賞受賞)。
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