2010 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物を用いた薬物感受性遺伝子に関するゲノム薬理学的研究
Project/Area Number |
22390048
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 高義 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50144564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 艶 神戸大学, 医学研究科, 講師 (70457050)
向井 秀幸 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 准教授 (80252758)
|
Keywords | バルプロ酸 / 低分子量GTP結合タンパク質 / グアニンヌクレオチド交換因子 / 細胞内輸送 / ストレス応答 / マップキナーゼ / 酸化ストレス / 転写因子 |
Research Abstract |
1.バルプロ酸感受性遺伝子の単離と細胞内輸送機構の解明 これまでバルプロ酸に超感受性を示す分裂酵母変異体の原因遺伝子として、Vps45とAps1という2つの細胞内輸送に関連する遺伝子を同定した。今回は、バルプロ酸に感受性を示す別の変異体vas3-1/ricl-v3を解析した。その結果、Ric1というRyh1 RabファミリーGTP結合タンパク質のグアニンヌクレオチド交換因子のサブユニットをコードする遺伝子を同定できた。Ric1ノックアウト株はvas3-1変異株とほぼ同様の表現型を示し、野生型および恒常的活性型のRyh1はこれらの株の表現型を部分的に相補した。さらに、ricl-v3変異株の温度感受性を過剰発現によって相補する遺伝子として、細胞内輸送に関わるタンパク質リン酸化酵素として知られているVps15を同定した。この遺伝子の過剰発現はRic1ノックアウト株の表現型は相補しないので、Vp15がRic1活性を制御する可能性が示唆された。 2.MAPKKK依存性および非依存性ストレス応答MAPキナーゼ活性化経路の同定 分裂酵母のストレス応答MAPキナーゼ経路は、ヒトの経路とほぼ同様に、高浸透圧と酸化ストレスに応答することが知られているが、そのメカニズムは不明だった。我々は、MAPキナーゼSty1によってリン酸化されて活性化される転写因子Atf1の活性をルシフェラーゼを用いて生きた細胞で測定するシステムを構築した。この系を用いて、5つのMAPKKKをすべてノックアウトした細胞でのAtf1活性を測定したところ、高浸透圧による刺激応答は完全に消失したが、酸化ストレスによる刺激応答は残っていた。さらに、酸化ストレスはSty1の脱リン酸化酵素Pyp1を阻害してAtf1を活性化することが明らかになった。以上のように、2つのMAPキナーゼ活性化経路の存在を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)