2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデル生物を用いた薬物感受性遺伝子に関するゲノム薬理学的研究
Project/Area Number |
22390048
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久野 高義 神戸大学, 医学研究科, 教授 (50144564)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 艶 神戸大学, 医学研究科, 講師 (70457050)
向井 秀幸 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 准教授 (80252758)
|
Keywords | 抗真菌薬 / アゾール系 / 薬剤耐性 / 免疫抑制薬 / 薬剤感受性 / 細胞内カルシウム / チャネル / マップキナーゼ |
Research Abstract |
1.抗真菌薬に対する感受性決定遺伝子の同定 真菌感染症は免疫不全における最も致死的な感染症であり、超高齢化社会の到来とともにその重要性は増しているが、治療薬としては古くからのアゾール系薬物など数種しか知られていない。本研究では、アゾール薬と相乗効果を示す薬物の分子標的を探索する目的で、抗真菌薬に感受性を示す遺伝子ノックアウト株をゲノムワイドにスクリーニングした。その結果、109個の感受性遺伝子と11個の耐性遺伝子を同定した。これらは、膜輸送、ヒストンアセチル化、ユピキチン化など様々な生命現象に関与していた。 2.免疫抑制薬に対する感受性と関連する遺伝子の同定 1と同様に、免疫抑制薬タクロリムスの存在下で生育不能になる遺伝子ノックアウト株を探索した。その結果、72個の感受性遺伝子が同定された。これらは、11の機能的グループに分けられた。最大は膜輸送(16個)でシグナル伝達(10個)がそれに続いた。これらの結果は、カルシニューリンが様々な細胞機能に関与し、多くのシグナル伝達経路とクロストークしていることを示している。 3.TRPチャネルとYam8/Cch1チャネルの分裂酵母細胞内Ca^<2+>調節機能における役割 GFPとエクオリンの融合タンパク質を発現させることで、生きた分裂酵母細胞内におけるCa^2濃度を高感度で測定する方法を開発した。その結果、TRPチャネルを過剰発現した細胞では、細胞外Ca2濃度上昇により、急激な細胞内Ca^2濃度の上昇が認められた。さらに、Yam8/Cch1を介するCa^2流入はPmklマップキナーゼ経路により活性化され、カルシニューリンにより抑制されることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に書いたように、多くの薬物感受性遺伝子を同定した。現在は、これらの感受性遺伝子の表現型を多コピーで抑圧する遺伝子も同定している。また、スクリーニングで新しく同定した遺伝子、例えばTRPチャネル、の機能も解明することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在のところ研究は順調に進んでいるので、さらに多くの薬物感受性遺伝子の同定とこれらの遺伝子と機能的に関連する遺伝子の同定および機能解析を進める。 さらに、各種シグナル伝達経路と薬物感受性の関連を調べるために、生きた細胞での各種シグナル伝達経路下流の転写因子活性を測定する方法を確立しているところである。今後はこれらを用いて薬物感受性メカニズムの解析を進める。
|
Research Products
(7 results)