2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチンインスレーターの多機能性と超ゲノム制御の解明
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22390055
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中尾 光善 熊本大学, 発生医学研究所, 教授 (00217663)
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Keywords | 遺伝子 / 転写 / インスレーター / エンハンサー / プロモーター / CTCF / クロマチン |
Research Abstract |
本研究では、インスレーター結合因子CTCF(CCCTC結合因子)の多機能性に着目し、高次の遺伝情報制御機構を明らかにすることを目的とする。CTCFのタンパク質複合体の実体を解明するとともに、その転写調節、インスレーター(クロマチンの境界)、クロマチン・ループ形成等の多機能について、ヒト遺伝子クラスター領域で解析を行い、細胞機能と生命現象における意義を明確にすることが全体構想である。各種培養細胞株を用いて、CTCF、その共役因子RAD21に対する抗体を用いたクロマチン免疫沈降を行い、ChIP-Chip/Seq解析を用いて、結合部位およびインスレーターの候補部位を同定した。その結果を基に、炎症応答におけるTNF/LT遺伝子クラスター、細胞リプログラミングにおけるINK4/ARF遺伝子クラスターの高次元のエピゲノムを解析した。クロマチン免疫沈降を行い、遺伝子クラスター内のCTCF結合部位をリアルタイムPCR法で確認した。また、遺伝子プロモーターとエンハンサー、CTCF結合配列を組み込んだルシフェラーゼ発現ベクターを作製し、エンハンサー遮断作用、サイレンサー作用等を明らかにした。CTCF、RAD21に対するRNA干渉法を用いて、ノックダウン下での遺伝子クラスターの発現変化を確認し、これらの因子が発現制御に不可欠であることを示した。さらに、染色体コンフォメーションキャプチャー法で検討し、遺伝子クラスターの高次クロマチン形成におけるCTCFの重要な役割を明らかにした。これらの研究によって、CTCFによる超ゲノム制御の機構の一端を解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クロマチンインスレーターによるヒト遺伝子クラスターのエピゲノム制御について、新知見を得て、最先端の論文発表等の成果が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展しているため、研究計画の変更なしに推進する。
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Research Products
(23 results)