2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390057
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
黒川 理樹 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70170107)
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Keywords | 酵素 / 遺伝子 / 核酸 / 生体分子 / 発現制御 |
Research Abstract |
本研究の研究計画は次の5項目を設定している。すなわち、(1)pncRNAの転写開始点の決定、(2)pncRNAプロモーターを認識する基本転写因子の精製と結合部位の決定、(3)pncRNAプロモーターの解析、(4)DNA損傷刺激によるpncRNA転写を誘導する転写因子の同定、(5)pncRNAプロモーター欠損ES細胞の作製とpncRNA誘導の消失実験である。 平成23年度末までに、pcDNA3に転写開始点から約2kbのcyclin D1プロモーター領域を挿入したベクター(pcDNA3-cyclinD1P)をHeLa細胞に導入しての発現実験に成功した。従って、この領域内にpncRNAの転写誘導配列が存在することが判明した。これは大きな実績で、この領域内にpncRNAの転写を誘導する配列が含まれていることになる。この結果から、(1)と(3)が解明される見込みである。現在、pcDNA3-cyclinD1P導入後のHeLa細胞に放射線照射の条件検討を行っている。これから、(4)が解決される。これまでの解析から、(1)及び(2)のpncRNAの基本転写と(4)の放射線による転写誘導は密接に関連することが示唆される予備的結果が得られているので、(4)の放射線による転写誘導に関与する転写因子を決める。放射線照射群と非照射群のHeLa細胞で、照射群におけるpncRNA転写は有意に上昇することが判明している。この実験群のHeLa細胞から、RNAを調製して5'RACE法で転写開始点を決める。そして、転写開始領域を同定する。 この転写開始領域は数十から100塩基対程度と予想されるので、これをビオチン標識DNAとして合成する。このビオチン標識DNAと、上述の放射線処理および非処理のHeLa細胞から核抽出液を調製し、結合画分をSDS-PAGEで解析する。ここで特異的に結合したバンドを質量分析で解析すると、放射線誘導に関与する転写因子群が判明することになる。これで(1)~(4)が完成する。このように今年度は、有意義な研究業績をあげることが叶った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施予定の5項目の達成に目途がつき、さらに、新しい展開が望める状況になっている。このことから、おおむね順調に進展していると判断された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度末までに、pcDNA3に転写開始点から約2kbのcyclin D1プロモーター領域を挿入したベクター(pcDNA3-cyclinD1P)をHeLa細胞に導入しての発現実験に成功した。従って、この領域内にpncRNAの転写誘導配列が存在することが判明した。これは大きな成果で、非コードRNAの誘導配列同定の大きな一歩である。現在、pcDNA3-cyclinD1P導入後のHeLa細胞に放射線照射の条件検討を行っているが、この実験からcyclin D1プロモーター由来の非コードRNA転写を誘導するDNA配列および転写因子群が明らかになると期待される。このことは冠非コードRNAの転写制御機構解明に大きな進展をもたらすことになる。
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Research Products
(11 results)