2011 Fiscal Year Annual Research Report
BMP受容体変異を伴う細胞増殖性疾患の分子基盤の解明
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22390059
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
別府 秀幸 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(医学), 准教授 (20550479)
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Keywords | 癌 / 大腸ポリープ / 遺伝子改変マウス / BMP / 受容体 |
Research Abstract |
1)BMPR2遺伝子欠損マウスに発生する大腸ポリープの解析結果より間質細胞におけるBMPR2遺伝子の機能が重要な役割を担うことが明らかとなった。すなわち、BMPR2遺伝子欠損間質細胞からの何らかのシグナルが上皮細胞の増殖を促進させることが示唆された。そこでBMPR2遺伝子欠損線維芽細胞からRNAを抽出し、cDNAマイクロアレイにて遺伝子発現の変化を正常細胞と比較を行った。遺伝子発現が増加していたものにendoglin, lipocalin2, CD34, prostagl and in E synthetaseなどが認められ、現在これらの遺伝子変化の影響の解析を行っている。 2)BMPR2の特徴的な構造にC末端に位置するTail domain(TD)がある。このTDの機能は未だ解明されていない。その機能を解析するために遺伝子組換え技術ジーンターゲティング法を用いてTDをコードしているエクソン12を欠損させた細胞とマウスを作製した(SG allele)。これらの変異マウス(SG/SG)は発生初期に致死となった。この変異BMPR2は正常な細胞外領域、キナーゼ領域を有しており、TDがBMPシグナルに影響を与えていることが示された。 3)上記、SG alleleを組み込んだMEF細胞を用いた解析の結果、BMPR2(SG/+)細胞ではBMP7刺激によるSmad1/5/8のリン酸化が亢進していることが明らかとなった。さらにコンディショナルノックアウト法を用いたBMPR2 allele(floxallele)と組み合わせ、BMPR2(SG/flox)からBMPR2(SG/de1)を作製した。正常のBMPR2を欠損させる(del allele)と、さらにSmad1/5/8のリン酸化が亢進した。BMPR2(SG/+)細胞で1型受容体(ALK2とALK3)をノックアウトしたところALK2を介していることが分かった。これらの結果よりTDをもつBMPR2はALK2を介したBMP7シグナルに関して抑制的に作用することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画2においてマウスの繁殖に若干の遅れがあるものの、実験計画1,3ともにおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画1については、スクリーニングの結果得られた病態に関与する可能性のある遺伝子群について、それらの個々の機能を明らかにし、実際に発症に関して責任遺伝子となり得るか検討していく。実験計画2については、マウスの交配数を増やし、変異マウス胚における中胚葉マーカーの発現を確認していく予定である。実験計画3についてはTail domainを欠損した変異BMPR2を介したnon-Smad pathwaysへの影響も検討していく予定である。
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