2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルコース代謝の制御を介した癌化の誘導とp53による癌化抑制機構の解析
Project/Area Number |
22390062
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
田中 信之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80222115)
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Keywords | p53 / NF-κB / グルコース代謝 / 発癌 / 癌抑制 / 炎症 / 炎症性サイトカイン / Stat3 |
Research Abstract |
Azoxymethane (AOM)/dextran sulfate sodium salt (DSS)誘発性大腸炎-発癌モデルを解析した。その結果、これらの酵素を含む様々なグルコース代謝経路の制御因子の発現の亢進が、腫瘍組織及びその周辺の炎症組織で観察された。そこで、この炎症誘発腫瘍の発生におけるIL-6-Stat3-グルコース代謝の役割を解析する目的で、解糖系の阻害剤を投与して癌化への影響を調べた。その結果、驚くべきことに解糖系阻害剤により全く腸炎が起こらないことを見いだした。そのメカニズムを解析したところ、解糖系の阻害以外にマンノース代謝の阻害により炎症性サイトカイン受容体の高マンノース型の糖鎖修飾が阻害されて、そのことでIL-6,TNF-α,IL-1等の炎症性サイトカインシグナルが抑制されることを見いだした。このように糖鎖修飾を阻害することで炎症反応を効果的に抑制することを見いだしたことは初めてであり、医学的にも重要な発見であると考えている。更に、これらの炎症性サイトカインが関わる疾患である関節リウマチのモデルであるコラーゲン誘発関節炎の発症もこの解糖系阻害剤の経口投与によって抑えられることを見いだした。現在、この分子機構を詳細に解析すると共に、その効果を種々の疾患モデル動物で検証している。更に、癌化における炎症反応の重要性と代謝の変化に対する研究方法の一つとして解析を進めている。同時に炎症反応における代謝の変化と癌化の関係を解析しており、NF-κB経路及びStat3経路の役割及びp53に対する効果を検討している。
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Research Products
(5 results)