2011 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌幹細胞の効率的な新規獲得法の確立と癌幹細胞維持メカニズムの解明
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22390070
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
小西 登 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20145832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 啓司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90336850)
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Keywords | 前立腺癌 / 癌幹細胞 / quiecence / CD133 / CD44 / Syndecan-1 |
Research Abstract |
Syndecan-1はheparan sulfate proteoglycanのひとつで、細胞の生存、migrationや血管新生など多彩な機能を有し、ホルモン抵抗性前立腺癌細胞の生存に重要な機能を有することを報告し、Syndecan-1が前立腺癌細胞における治療抵抗性獲得とその進展に関与する可能性を指摘した(Cancer Sci,2009)。一方、腫瘍幹細胞は細胞傷害性ストレスに対する抵抗性が強く、治療抵抗性獲得に多大な影響をもたらす。従って、腫瘍性幹細胞の安定化メカニズムを解明すれば治療感受性を増大して有効な治療法を確立できると考えられる。前立腺癌細胞株PC3をlimiting dilution、single cell cloneとした後に長期培養すると、少数ながらHolocloneを形成する。Holocloneはmicrosphere形成能が高く、tumor initiating cellsとしての性状を示すとともに、幹細胞マーカーならびに syndecan-1の有意な発現上昇を認めた。shRNAを用いてsyndecan-1をノックダウンしたPC3細胞ではHoloclone形成が強く阻害され、in vitro,in vivoでの細胞増殖や腫瘍サイズの有意な低下を認めた。次に皮下移植腫瘍モデルを用いた検討では、PC3細胞を移植した場合に比してSyndecan-1をノックダウンしたPC3細胞ではdocetaxel投与に伴う腫瘍サイズ縮小効果が有意に促進されるとともに、治療後の腫瘍細胞におけるCD133/CD44陽性細胞(腫瘍幹細胞)数が有意に低下していた。以上から、syndecan-1のは前立腺癌におけるtumor initiating cellsの安定化を介して癌の進展や化学療法抵抗性に関与している可能性が考えられ、前立腺癌治療における重要な分子標的になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は前立腺癌細胞株から高率にCD133/CD44陽性細胞を得ることと、これを用いて癌幹細胞を維持するシグナル伝達系を解析することにある。今まで、前立腺癌細胞株にetoposide 1μMを無血清培地下に刺激し、培養することでCD133/CD44陽性細胞を効率よく獲得できた。また、この過程において、Syndecan-1が前立腺癌細胞における治療抵抗性獲得とその進展に関与する可能性を指摘した。今後、これらの知見からsyndecan-1の前立腺癌治療における分子標的の可能性を検討することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
Syndecan-1が前立腺癌における腫瘍性幹細胞の安定化に深く関与している可能性を見出した。次年度は、前立腺癌発癌モデル動物であるTRAMPマウスの実験系を確立し、CDI38阻害剤であるOGT2115を腹腔内投与した場合における前立腺前癌病変や腺癌発生に及ぼす影響(発生までの期間や腫瘍サイズ、浸潤、血管新生能や転移能など)を多角的に評価する。また、癌発生後にOGT2115を投与した場合の単独治療効果や化学療法(cisplatin,docetaxel)、放射線照射の抗腫瘍効果に及ぼす相加、相乗効果の有無を解析する。
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