2010 Fiscal Year Annual Research Report
低分子量ヒアルロン酸の自己分泌/傍分泌によるがん細胞活性化制御機構
Project/Area Number |
22390074
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
張ヶ谷 健一 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40101894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 元生 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (40262026)
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Keywords | 腫瘍浸潤・転移 / EMT / CD44 / ヒアルロン酸 / RTK / EGFR |
Research Abstract |
がん組織にはヒアルロン酸(HA)が多量に存在し、低分子量HAがより高い比率で含まれることが報告されている(Nat Rev Cancer,7:528,2004)。また、HAの受容体であるCD44は、浸潤先端の癌細胞や造腫瘍細胞に高い発現を示す。我々は、がん細胞株HeLaS3細胞はhyaluronan synthase 2を発現しており、高分子量HAを細胞膜上で産生している。この産生された高分子量HAはCD44とhyaluronidase 2の複合体により、低分子量HAに細胞膜上で分断され、さらに、この分断されたHAがreceptorであるCD44にリガンド結合し、EGFRと会合、EGFR細胞質内ドメインのチロシンキナーゼをリン酸化することを見出している。この自己分泌/傍分泌(オートクリン/パラクリン)機構により、活性化されたRTKリン酸化シグナルが、同細胞のRho GTPase、ERK1/2、NFKBなどの多系列のシグナルを活性化に結びつき、細胞運動能亢進やタンパク分解酵素発現などの細胞活性化を起すことを見出し、発表している(15^<th> World Congress on Advances on Oncology Greece,2010.10、Keystone Symposia,Vancouver,2011.1.)。この知見は、低分子量HAが起動する細胞活性化は、がん細胞の浸潤転移能を含めた悪性形質の進展の機構となる可能性を示唆している。本研究の目的は、この低分子量HAによる細胞活性化形質の同定と、その分子機構を分子・細胞生物学や形態学の方法を用いて解析することと、さらにこの機構のがん進展における役割を解明することであり、CD44の機能を踏まえて分子レベルで解析することも含まれる。
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Research Products
(8 results)