2011 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫赤血球侵入関連分子の機能ドメインの同定と侵入の制御
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22390079
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Keywords | 感染症 / 原虫 / 赤血球 / 侵入 |
Research Abstract |
本研究課題では、最近の研究の進展により注目を浴びているロプトリーに局在する2つの複合体について、ネズミマラリア原虫の系により、1)複合体形成を阻害すると、赤血球侵入が阻害されるAMA1-RON複合体の複合体形成インターフェイスの同定、2)特異抗体が増殖を阻害するRhopH複合体の赤血球結合領域の同定を行い、赤血球侵入を制御する新しい標的部位を明らかにすることを目的とする。平成23年度は全長、C末端から1/5、2/5、3/5、4/5を削除した組換えRhopH1Aタンパク質とタグとを融合タンパク質として発現するネズミマラリア原虫(P.yoelii)を新たに作製しなおし、免疫沈降により、RhopH2との複合体形成を再検討した所、全長、C末端から1/5、2/5、3/5を削除した組換えRhopH1Aタンパク質はRhopH2と複合体を形成するが、4/5を削除すると形成をしなくなる事を示唆する知見を得た。RON-AMA1複合体の解析を行った結果、RON5はRON2とRON4との複合体としては検出されるが、AMA1との結合は検出できなかった。RON2/RON4とAMA1は複合体を形成するので、RON5とAMA1は直接は複合体を形成していない可能性がある。大腸菌を用いて、RON2およびRhopH1の部分組換えタンパク質の作製を試みたが、困難で作製をすることができなかった。熱帯熱マラリア原虫のRhopH複合体構成成分およびRON複合体構成成分の部分組換えタンパク質について赤血球への結合および特異性を検討する実験を行うために、これらを発現する熱帯熱マラリア原虫のデザインを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
組換えタンパク質の大量調整を行うことを想定し、レアコドンを補充し、ジスルフィド結合形成も良いとされるNovagen社のRosetta-Gami2でマラリア原虫タンパク質の発現を試みたが、発現量が極端に少なく、条件検討を行うために時間を費やした。無細胞タンパク質発現系に切り替える決断をするまで時間がかかった。また、ネズミマラリア原虫への遺伝子導入が予想よりも効率が悪く、組換え原虫の作製に時間を取られた。
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Strategy for Future Research Activity |
組換えタンパク質について、すでに一部を無細胞タンパク質発現系で作製し、大腸菌では発現できなかったものが、十分発現できることを確かめた。全ての組換えタンパク質発現を無細胞タンパク質発現系で行う決断をした。そのため、組換えタンパク質については問題は解決されたと考えている。ネズミマラリア原虫への遺伝子導入の効率が悪い点については、全てのプロトコールをもう一度見直し、また、新たな人材の投入も考慮している。
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