2011 Fiscal Year Annual Research Report
ガス壊疽菌群の病原性に関与する調節RNA分子の探索と機能解析
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22390081
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
清水 徹 金沢大学, 医学系, 教授 (80235655)
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Keywords | 病原性 / 遺伝子発現調節 / ウェルシュ菌 / 調節RNA |
Research Abstract |
前年度はウェルシュ菌のゲノム配列から比較的長い遺伝子間領域(IGR)の存在を確認して144のIGRを選択し、それぞれの領域のDNAをPCRによって増幅し、このDNAを遺伝子プローブとしてウェルシュ菌野生株より抽出したRNAに対してノザン解析を行い、これにより144のIGRのうち、明らかに転写されている領域が53領域あることが明らかになっている。 そこで23年度は、この転写の見られた53のIGRで転写されるRNAの領域の特徴を調べるため、53のすべてのIGR領域について、培養したウェルシュ菌野生株から培養開始後1,2,3,4,5時間のRNAを経時的に抽出し、各培養時期における低分子RNAの発現パターン(量の増減など)分析とRNAの正確なサイズ計測を行い、RNAによって時間的な発現パターンが異なること、そしてほとんどのRNA分子のサイズが150~500,baseとIGR領域の長さより短く、明らかにIGR内から転写されていると判断された。引き続いて、IGRから転写される低分子RNAの発現調節パターンを解析するため、これまでに知られている調節システムである二成分制御系VirR/VirSや転写調節RNAであるVR-RNA、virXの変異株を用いて、これらの調節システムとIGR領域の低分子RNA(IGR-sRNA)との関連を野生株と制御遺伝子変異株から調製したRNAを用いるノザン解析により調べた結果、20のIGR-sRNAの発現がVirR/VirS調節系により転写調節されていることが明らかになった。VR-RNAおよびvirXによるIGR-sRNAへの転写調節に関しては、現在実験を行っているところであり、24年度も継続的に行っていき、ウェルシュ菌のグローバル調節系がIGR-sRNAの発現に及ぼす影響について明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度交付申請書に記載した目的に関してはほぼ達成され、53個のIGR-sRNAの発現パターンはすべて解析が終了し、VirR/VirS制御系によるIGR-sRNA発現調節の全貌も明らかになった。ただ、他の調節系、VR-RNAとvirXによる発現調節は現在解析中であり、次年度に繰り越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、VR-RNAとvirX系によるIGR-sRNAの転写に対する影響の解析を続けていくとともに、ウェルシュ菌の病原性に関与する可能性の強いIGR-sRNAをいくつかピックアップして、それらの変異株、過剰発現株等を用いてIGR-sRNAがウェルシュ菌の病原遺伝子発現にどう関与するかを明らかにし、ウェルシュ菌における様々な調節RNAがガス壊疽の病原性発現に必須であることを証明していく。
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Research Products
(2 results)