2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリVacA毒素受容体の多機能解析
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22390084
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
平山 壽哉 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50050696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯本 一 長崎大学, 大学病院, 准教授 (90322304)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / VacA / 細菌毒素 / VacA受容体 / 毒性発現 / 毒素作用 / 毒素受容体 / ピロリ菌 |
Research Abstract |
これまでピロリ菌が産生するVacAの本菌感染における役割を解明するために毒素病態学的な研究を進め、VacA受容体が2種の受容体型チロシンフォスファターゼ(RPTPαとRPTPβ)であることを示した。そしてVacAが胃粘膜上皮細胞のRPTPβに結合してその細胞接着能を減少させ、その結果、上皮細胞が基底膜から剥離し、胃酸の逆拡散などに曝されて胃炎、潰瘍の病態が形成される機序を報告した。しかし、その後VacAが細胞の「生と死」といった相反する現象を促す作用を示すこと、とくにVacAによる細胞増殖に関わる情報伝達経路の活性化は、これまで申請者らがVacA受容体として報告したいずれのPRPTを介していないことが判明した。 そこで、昨年度に引き続き、これまでVacA受容体の同定に用いた方法をスケールアップして、VacA抗体による免疫沈降によって得られるVacAと結合する蛋白質の解析を進めた。免疫沈降物に認められた蛋白質のMass解析した結果、約5種類の膜蛋白をVacAと結合する候補蛋白(そのうちの2種はRPTPαとRPTPβ)として認めた。なかでも、p500(論文投稿中のためにここでは仮称を用いる)は、VacAの新たな生物活性(毒性の1部)を示すために必須な分子であり、p500の発現抑制を目的としたsiRNA処理により標的細胞膜上でのVacA結合とそれにつづくVacAが誘導する生物活性が著明に抑制された。得られた新知見を現在国際誌に投稿中で査読を受けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VacAの多様な毒性発現を担うあらたなVacA受容体を見出し、そのあらたな機能の詳細が判明してきた。現在得られた成績の一部を投稿中で、その詳細の記載は控えたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度が最終研究年度にあたるために、論文として発表するために、レフリーなどから受けるコメントなどに対する対応を適宜行う。
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