2011 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの増殖を制御する宿主因子の同定とその役割の解明
Project/Area Number |
22390088
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 幸廣 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (60115615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 宏 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30303621)
五島 典 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70201499)
鎌倉 真紀 名古屋大学, 医学系研究科, COE特任助教 (80437003)
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Keywords | 単樹ヘルペスウイルス / 宿主因子 / 遺伝子機能 / ウイルス増殖機構 |
Research Abstract |
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染後の宿主遺伝子発現の変動について、マイクロアレイ法を用いて網羅的に解析し、感染によって発現量が著しく増大する多数の宿主遺伝子を新たに同定した。その中の一つ、zinc finger transcription factor insulinoma-associated 1(NSM1)は早期胚の神経系発生に必須であることが知られており、そのmRNAレベルはHSV感染によって400倍以上増加した。そこでINSM1に着目し、HSV感染における動態、役割について検討した。その結果、INSM1はHSVの増殖制御に重要な役割を果たす前初期遺伝子産物ICP0のプロモーター領域に結合し、ウイルス増殖に対し促進的に作用していることが明らかになった。ICP0は潜伏感染からの再活性化に重要な役割を担っていることが明らかになっており、この過程における宿主因子INSM1の関与の有無は今後の検討すべき課題といえる。 Tankyrase1は細胞質を中心にテロメアや中心体などにも広く分布する蛋白質で、poly(ADP-ribose)polymerase(PARP)活性をもつ。本研究ではHSV感染におけるtankyrase1の動態と役割についても検討した。その結果、HSV感染によってtankyrase1がリン酸化修飾を受けること、その反応にextracellular signa-related kinase(ERK)が関与していること、感染によってtankyrase1の局在性が著しく変化し核内のreplication compartment内にリクルートされることが判明した。また、ICP0とtankyrase1は相互作用し、核内で共局在することが明らかになった。さらに、tankyrase1及びtankyrase2の発現を抑制した細胞や、PARP活性阻害剤XAV939を用いた実験から、効率的なHSV増殖にはtankyrase1が必要であることが示された。以上の観察は、HSV増殖において、宿主因子tankyrase1がICP0、ERK依存的に重要な役割を果たしていることを示唆するものである。
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