2010 Fiscal Year Annual Research Report
PSGL-1受容体を介するエンテロウイルス71感染・病原性発現の分子基盤
Project/Area Number |
22390092
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
清水 博之 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 室長 (90270644)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / エンテロウイルス / PSGL-1 / 受容体 / 手足口病 |
Research Abstract |
我々は、最近、ヒト白血球から、手足口病および重症中枢神経疾患の原因ウイルスであるエンテロウイルス71(EV71)の機能的受容体分子を同定した。EV71の病原性発現の分子基盤の解明のため、EV71受容体P-selectin glycoprotein ligand-1 (PSGL-1)のEV71感染増殖および病原性発現における役割を解析した。 1.PSGL-1の翻訳後修飾のうち、O型糖鎖付加はEV71との結合に関与しないが、PSGL-1のアミノ酸末端におけるチロシン硫酸化が、効率的なEV71との結合およびPSGL-1依存性EV71増殖に寄与することを明らかにした。 2.PSGL-1発現マウスL細胞におけるEV71増殖において、PSGL-1結合能だけでなく、EV71カプシドアミノ酸の変異(VP2-149等)がマウス細胞における効率的なウイルス増殖に関与することを示した。 3.PSGL-1受容体を認識するモノクローナル抗体を用いて、Jurkat細胞におけるPSGL-1依存性ウイルス増殖を検討した。東アジア地域で手足口病流行時に分離された異なる遺伝子型のEV71臨床分離株(genogroup A,B1~B5,C1~C5)は、PSGL-1結合性・非結合性株に分類可能であった。 4.PSGL-1結合性・非結合性EV71株のカプシド領域アミノ酸の比較解析により、PSGL-1結合性を規定するアミノ酸部位を推定した。予想されるPSGL-1結合性規定部位に変異を導入した感染性クローン由来EV71株を現在作成中であり、PSGL-1結合およびPSGL-1依存性ウイルス増殖を規定するカプシドアミノ酸を特定するとともに、EV71感染増殖および病原性発現におけるPSGL-1の役割を解析する。
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