2011 Fiscal Year Annual Research Report
終末糖化産物アプタマーを用いた糖尿病血管症の治療戦略
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22390111
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
山岸 昌一 久留米大学, 医学部, 教授 (40281026)
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Keywords | AGE / AGE-アプタマー / 糖尿病 / 腎症 |
Research Abstract |
8-16週齢の肥満2型糖尿病モデル動物であるKKay/Taマウス腹腔内に3μMのフォスフォロチオエート型終末糖化産物-アプタマー(Advanced Glycation End-products、以下AGE-アプタマー、以下AGE-アプタマー)あるいはコントロールDNAアプタマーを投与し、経時的に糖尿病腎症に及ぼす当該AGEアプタマーの効果について、非糖尿病コントロールマウス、コントロールDNAアプタマー投与糖尿病マウスと比較検討した。その結果、3μMのAGE-アプタマーの投与により、1)BUN、クレアチニンで評価される腎機能の低下が有意に抑制されること、2)アルブミン尿の排泄量の増加が有意に抑えられ、尿中8-OHdGなどの酸化ストレスマーカーの排泄量も低下すること、3)腎組織学的にメサンギュウム領域の拡大や糸球体の硬化病変が抑制されること、4)腎糸球体領域におけるCTGF等の硬化病変を引き起こす増殖因子の発現が抑えられることなどが見いだされた。AGEアプタマーの投与により、KKay/Taマウスの血糖値、血圧値、脂質値等の代謝系のパラメーターは何ら影響を受けなかったが、血中並びに腎糸球体領域のAGEレベルがコントロールマウスのレベルにまで抑制された。以上のことから、AGE-アプタマーは、AGEと結合しその代謝、排泄系を促進することで作用をブロックし、糖尿病腎症の進展に保護的に作用するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、23年度中に腎症の他、網膜症の評価も合わせて行うこととなっている。現在網膜症への効果について、実験が進行中で、計画は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、網膜症に対するAGE-アプタマーの効果について検討した後、バルーン障害による血管リモデリングへの当該アプタマーの作用についても、計画どおり解析を進める予定である。
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