2010 Fiscal Year Annual Research Report
多戦略的グライコプロテオミクスによる消化器癌のバイオマーカー開発と臨床応用
Project/Area Number |
22390114
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野村 文夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80164739)
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Keywords | プロテオーム / ペプチドマーカー / 蛋白質 / 癌 / 臨床 / 検査医学 |
Research Abstract |
いわゆるabundant proteinsの存在量が全体の99%を占める血清を対象としたプロテオーム解析においては、残りの1%(deep proteome)に存在するバイオマーカーを探索するためにabundant proteinsの除去が必要であるが、従来から用いられているimmunodepletion法を用いるとabundant proteinsと結合している可能性があるマーカー候補が同時に失われてしまうと考えられ、この点が大きな難点とされてきた。そこで今回、abundant proteinsに結合しているペプチド類を選択的に回収する方法の開発を試みた。 本方法は大きく、differential solubilization法(DS法)によるペプチド抽出とその抽出物の逆相クロマトグラフィーによる分画およびその分画物のMALDI-TOF MS解析の3つのステップに分かれる。DS法によるペプチド抽出は従来法の限外濾過やアセトン沈殿法、アルブミン・IgG除去カラムなどに比して、効率よくペプチドを回収できることが確認された。さらにアルブミン/IgG除去法では検出されていないペプチドを多数検出できていること、すなわちこれらのabundant proteinsに結合しているペプチドを回収できていることが示された。この方法をマーカー探索やvalidationに利用する場合はその再現性が優れていることが求められる。その点を確認するために各ステップ、すなわちDS法によるペプチド抽出、RP-HPLC、MALDI-TOF MSにおける再現性を検討したが、いずれのステップにおいても同時再現性が良好であることが確認された。今後は本法を血清・血漿を用いたマーカー探索、とくにペプチドマーカー探索に応用していく予定である。
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