2011 Fiscal Year Annual Research Report
キノン選択的化学発光分析法による生体キノンの定量・探索とその臨床化学的応用
Project/Area Number |
22390116
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
黒田 直敬 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50234612)
|
Keywords | キノン / 化学発光反応 / マイクロプレートリーダー / ハイスループット分析 |
Research Abstract |
キノンは紫外線照射を受けることにより、活性酸素や化学発光増強剤を発生させるという性質を有する。本研究では、このキノンに特異的な性質を利用する高感度かつ選択的なキノンの新規化学発光分析法の閉発を行っている。 平成23年度は測定操作の省力化と迅速化のために、マイクロプレートリーダーによるキノンの分析法の開発を行った。このとき、時間分解蛍光測定用プレートリーダーを用いることで、キノンへのパルス紫外線照射によって引き起こされる化学発光の検出が可能であった。96穴マイクロプレートのウェルにキノン溶液及びルミノール誘導体L-012の炭酸緩衝液溶液を添加した後、プレートリーダーにセットする。その後、各ウェルに対して波長250nmの紫外線をパルス照射し、紫外線照射後500μsから2000μsの間に生じる発光を波長450nmにおいて測定する。この操作を繰り返し、得られた発光量を積算してキノンの定量を行った。キノンとL-012を共に添加したウェルからのみ発光が観察され、その強度はキノン濃度に比例して上昇した。本法においては、9,10-anthraquinoneをはじめとするp-quinoneでは強い発光が得られるのに対し、9,10-phenanthrenequinone等のo-quinoneは発光を示さないという結果となった。 本法で高い発光を示した3種のキノン(9,10-anthraquinone, 1,4-naphthoquinone及びmenadione)について検量線を作成した結果、いずれのキノンについても0.05-150μMの濃度範囲で発光強度と濃度との間に相関係数0.999以上の良好な直線関係が得られた。また、本法におけるmenadioneの検出下限(blank+3SD)は0.01μMであった。本法における1試料あたりの測定時間はわずか5秒であり、キノンのハイスループット分析法として有用であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通りに、時間分解蛍光測定用プレートリーダーを用いることによりキノンのハイスループット化学発光分析法を開発することに成功した。本法は従来までに報告されているキノンの分析法と比較して測定に要する時間を大幅に短縮化しており、様々なキノンの多検体処理に適した方法であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
キノンの光分解によって生じる化学発光とマイクロプレートリーダーを組み合わせた新規分析法は迅速かつ高感度であることが明らかになったことから、今後は生体試料中に存在するキノンの定量へと本法を展開していく。一方で、本法において良好な発光が得られなかったo-quinone類については、キノンの酸化還元サイクルを利用する化学発光分析法といった異なるアプローチに基づく迅速分析法の開発を検討していく。
|