2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 淳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (50255436)
若尾 宏 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (10280950)
齋藤 健 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (40153811)
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551)
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Keywords | アスベスト / 中皮腫 / 免疫制御性T細胞 / ES細胞 / iPS細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
アスベストをその原因とする中皮腫において生体防御機能を発揮すると考えられる免疫制御性T細胞をin vitroで大量に産生する具体的方法を開発するため当該研究を遂行した。これまでの研究によりヒト胚性幹(ES)細胞から直接免疫制御性T細胞をin vitroで分化誘導することは困難であることが判明している。そこで今年度は以下の2つの実験を遂行した。(1)ヒトES細胞からのT細胞分化誘導系の樹立。まず、京都大学で樹立されたヒトES細胞株khES1,khES2,khES3を使用して血液幹細胞への分化誘導を試みた。その結果、khES3をOP9上で分化誘導した場合に血液幹細胞マーカーであるCD34陽性の細胞が出現することを確認した。その後、これらCD34陽性の細胞をOP9にNotchのリガンドであるdelta-like 1を強制発現させたOP9/dlk1でさらに分化誘導させた。この時、血球・リンパ球前駆細胞の生存・増殖を担保するFLT3-ligand,SCF,IL-7等のサイトカインを入れて培養した。その結果、分化誘導後50日程度でT細胞のマーカーを発現する細胞が観察された。しかし、その効率は極めて低く、100万個のヒトES細胞から始めて得られたT細胞は数百個程度であった。(2)ヒト免疫制御性T細胞のiPS化。上記実験の結果、通常の受精卵由来のES細胞からのT細胞分化誘導効率は非常に低いことが判明したので目的とするヒト免疫制御性T細胞のiPS化を試みた。ここでは従前のレトロウイルス・レンチウイルスを使用する方法ではなく、新規の方法で免疫制御性T細胞のリプログラミングを行った(論文投稿・特許申請準備中)。得られたiPS細胞はそのT細胞抗原受容体のゲノムDNA遺伝子配列解析から免疫制御性T細胞由来であり、ES細胞のマーカーを発現し、in vitroならびにin vivoで内胚葉、中胚葉、外胚葉に分化する多分化能を有していた。当該iPS化法は従来法のようにゲノムを修飾する事がないので、将来の臨床応用等を鑑みた場合非常に有用といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにヒトES細胞からのT細胞分化誘導系の樹立に成功している。さらに大量産生しようとしているヒト免疫制御性T細胞のiPS化にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこのiPS細胞をT細胞分化誘導条件で培養して目的細胞の産生を確認する。また、産生された細胞にヒト免疫制御性T細胞が含まれていればそのin vitroおよびin vivoでの機能解析を行う。
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Research Products
(1 results)