2012 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の高血圧に及ぼす身体・心理・社会的危険因子の時代的変遷と予防法に関する研究
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22390123
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平 哲也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50448031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 明彦 財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病予防, その他部局等, その他 (80450922)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375504)
磯 博康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50223053)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高血圧 / 危険因子 / 社会心理 / 生活習慣 / トレンド / ストレス |
Research Abstract |
【目的】高血圧はわが国の循環器疾患の最も重要な危険因子である。本研究では、長期間疫学研究を実施している地域・職域を対象として、わが国の高血圧に関連する身体・心理・社会的因子の時代変遷を検討すること、および現在のわが国の高血圧発症に関する危険因子を同定することを目的とした。 【研究1】地域住民における高血圧と生活習慣および身体的因子との関連の時代変遷についての横断・縦断研究:地域住民男女を対象として、第1期(1975~84年)、第2期(1985~94年)、第3期(1995~2000年)、第4期(2001~08年)に分けて解析した結果、各期における高血圧の有病率は第1期から3期にかけては低下傾向がみられたが、男性では4期に上昇に転じた。男性では肥満、多量飲酒はともに第1期から4期にかけて有意に高血圧に関連していたが、女性では肥満のみが関連し、多量飲酒は4期のみ有意に関連していた。 【研究2】地域、職域における高血圧と心理(行動)・社会的因子との関連の時代的変遷についての横断・縦断研究:2001~11年に健診を受診した大阪府内の男性勤務者の内、非高血圧者3,486人を対象として、食行動と新規高血圧発症との関連を平均5年間前向きに検討した結果、肉類の摂取および乳製品の摂取頻度が少ない男性は、そうでない男性に比べて、5年後の高血圧発症の危険度が高かった。 【研究3】地域における家庭血圧と生活習慣および身体・心理(行動)・社会的因子との関連についての横断・縦断研究:地域住民男女約1,900人を対象に家庭血圧を測定した結果、起床時、就寝時の最大・最小血圧の平均値は、それぞれ127/80mmHg、121/74mmHgであり、起床時の平均値の方が高かった。また、起床時、就寝時ともに男性の方が高かった。男性では、うつ症状を有する者はそうでない者に比べて就寝時の最大・最小血圧の平均値が有意に高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究1】地域住民における高血圧と生活習慣および身体的因子との関連の時代変遷についての横断・縦断研究:データセットの構築が完了し、横断研究については解析が終了した。現在、縦断研究の解析を進めている。 【研究2】地域、職域における高血圧と心理(行動)・社会的因子との関連の時代的変遷についての横断・縦断研究:地域、職域ともにデータセットの構築が完了し、職域における縦断研究の解析が一部終了した。現在は、地域、職域ともに心理的ストレスと高血圧発症との関連について解析を進めている。 【研究3】地域における家庭血圧と生活習慣および身体・心理(行動)・社会的因子との関連についての横断・縦断研究:地域住民男女を対象とした家庭血圧測定について、予定通り約2,400人の測定が完了した。このデータと以前測定した家庭血圧測定データを用いて、今後縦断的な解析を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
【研究1】地域住民における高血圧と生活習慣および身体的因子との関連の時代変遷についての横断・縦断研究:第2期(1985~94年)、第3期(1995~2000年)、第4期(2001~05年)について、それぞれベースラインの生活習慣とその後10年間の高血圧発症との関連を縦断的に検討する。 【研究2】地域、職域における高血圧と心理(行動)・社会的因子との関連の時代的変遷についての横断・縦断研究:第3期(1995~2000年)、第4期(2001~05年)について、心理(行動)・社会的因子とその後10年間の高血圧発症との関連を縦断的に検討する。 【研究3】地域における家庭血圧と生活習慣および身体・心理(行動)・社会的因子との関連についての横断・縦断研究:地域住民男女の内、家庭血圧測定実施完了者2,400人を対象として横断的に身体・心理(行動)・社会的因子との関連を検討するとともに、以前実施した家庭血圧、生活習慣と今回測定した家庭血圧との関連を縦断的に検討する。
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