2011 Fiscal Year Annual Research Report
多相生命表を用いた要介護者数の推計と介護サービスの効果に関する研究
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22390129
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 創一 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (50463849)
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Keywords | 介護保険 / 要介護度 |
Research Abstract |
介護保険制度が始まって10年以上が経過し、制度としても定着が見られるが、要介護度の観点から高齢者の自然経過や介護サービスの介入効果について評価を行うことは、現在の制度の評価や今後の制度設計・評価にとってますます重要となっている。平成23年度の本研究では東京都内の保険者に関する要介護認定の状況及び介護サービス利用状況についてのデータを分析資料として、要介護度の悪化・改善に介護サービスが及ぼす影響について明らかにすることを目的とした研究を実施した。研究実施にあたっては東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の承認を得た他、要介護度・利用サービスに関するデータの利用に当たって当該保険者の「情報公開制度及び個人情報保護制度運営審議会」の審議・承認を得ている。 解析にあたっては2009年10月と2010年10月の2時点において、双方とも有効な要介護認定を有する者を対象とし、要介護認定間隔を観察期間としてCOX回帰分析を行い、性、年齢階級、要介護度を調整した際の、介護サービス利用が要介護度の悪化に及ぼす影響について検証を行った。本研究の結果、年齢が上がるほど要介護認定を受ける割合が増加すること、在宅・施設系サービスともにサービス利用割合も増加していることを明らかにした他、性、年齢、要介護度といった因子の調整を行っても、介護サービスを利用している場合、介護度の悪化が抑えられる可能性が示唆される結果を得た。本研究は1保険者のみを対象にしている点で限界はあるものの、介護サービスの効果に関して定量的な知見を得られたものであり今後の介護保険制度の評価を行う上で高い意義があったものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第70回日本公衆衛生学会総会において発表した内容を発展させ、英文原著論文として投稿したが、査読に時間がかかったため、同年度中には掲載に至らなかった点において、若干当初計画に比較して遅れているが、その他についておおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
要介護度の悪化・改善に影響を及ぼす因子に関する検討については、平成24年度中に原著論文として掲載されることを目指すとともに、平成24年6月に開催される国際学会であるAcademy Healthで発表を行い、専門家との意見交換や、最新情報の収集を行い、さらに研究を深化させてゆくこととしている。また、要介護者の将来推計に関しては、平成24年度に、平成23年度に実際に申請・認定が行われた要介護者数のデータとして公表されることを踏まえ、平成22年度に行った推計結果と実際の要介護者数を比較することによって、要介護者数の推計精度の検証と、さらなる推計精度の向上のための検討を行うこととしている。
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Research Products
(1 results)