2011 Fiscal Year Annual Research Report
ハイリスク者における新型インフルエンザワクチン有用性に関する研究
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22390136
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
廣田 良夫 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20080624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 若葉 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70420734)
大藤 さとこ 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70433290)
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Keywords | 新型インフルエンザ / ワクチン / ハイリスク者 |
Research Abstract |
単価新型インフルエンザワクチンを施設入所高齢者71人に1回接種、妊婦150人と中高生106人に2回接種し、接種前後の中和抗体価を測定した。施設入所高齢者の幾何平均抗体価(GMT)は接種前39、1回接種後259(上昇倍数6.6)であった。ワクチン接種後の抗体保有率(SPR)は93%、抗体陽転率(SCR)は73%であった。妊婦のGMTは接種前13、1回接種後285(上昇倍数22.3)、2回接種後273(上昇倍数21.4)であった。SPRは1回接種後94%、2回接種後91%、SCRはそれぞれ88%、87%であった。中高生のGMTは接種前15、1回接種後245(上昇倍数16.7)、2回接種後279(上昇倍数18.7)であった。SPRは1回接種後91%、2回接種後92%、SCRはそれぞれ80%、83%であった。単価新型ワクチンの1回接種によって抗体価は大きく上昇し、妊婦と中高生では2回接種による抗体応答の増強は認めなかった。 2009/10シーズンに、検査確定インフルエンザA感染にて5つの病院に入院した16歳未満の小児515例について、臨床特性を検討した。年齢の中央値は6.3歳(0-15歳)であり、64%が男児であった。42%が何らかの基礎疾患を有していた(多い順に喘息20%、けいれん及びてんかん17%)。入院の主因として、呼吸器系合併症が49%、神経系合併症が28%、加えて両者の併存が5%であった。60%が発症から24時間以内、79%が48時間以内に入院していた。93%がノイラミニダーゼ阻害剤の投与を受けており、73%は発症から24時間以内、87%は48時間以内に投与を開始していた。3%がICU管理を要しており、1%が人工呼吸管理を受けていた。死亡例はなく、1例(0.2%)に後遺症を認めた。多変量解析の結果から、神経疾患の存在がICU管理のリスク因子と考えられた(調整オッズ比4.64、基礎疾患全体では祖オッズ比1.7)。諸外国と比べた場合、日本において入院率や死亡率が低いことが指摘されているが、入院の早さや、抗ウイルス薬が高頻度かつ早く投与されていることが貢献している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H22年度を含め、当初計画していた施設入所高齢者、神経筋疾患患者に加えて、妊婦や中高生において新型ワクチンの免疫原性を検討した。逆にパンデミックシーズンの検討に重きを置いたため、それ以後のシーズンについて、研究進捗がやや遅れている面もあり、(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成22、23年度研究にて、健常成人、筋ジストロフィー患者、施設入所高齢者、妊婦、中高生における単価不活化新型インフルエンザワクチンの中和抗体価を指標とした免疫原性(および副反応)について検討を行った。これについてさらに、詳細な疫学解析を進める。また、2010/11シーズンの3価ワクチンについて健常成人に関して抗体価測定を実施中であり、引き続き免疫原性評価を行う。また、小児科医を対象に、インフルエンザ診療に関するアンケート調査を行っており、これについて解析を進める。 平成24年度が最終年度が最終年度となるため、上記を中心にこれまでの研究の総括を行う。
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Research Products
(5 results)