2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血モデル神経細胞を用いた脳内病態解析の法医学的展開
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22390141
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
猩々 英紀 山梨大学, 医学工学総合研究部, 講師 (60284626)
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Keywords | 脳虚血 / 虚血モデル神経細胞 / 3次元画像解析 / ミトコンドリア |
Research Abstract |
脳虚血を伴う脳出血、脳梗塞およびクモ膜下出血などの脳血管疾患は3大死因の1つである。従って、脳虚血の脳内病態を詳細に検討し、法医診断マーカーを検討する事は重要である。ミトコンドリアは細胞内のエネルギー産生やアポトーシスなど細胞の生と死の両面に対して重要な役割を担っている。従って、脳虚血よってミトコンドリアの機能や形態が変化する事が考えられる。そこで、本研究では脳虚血に伴うミトコンドリアの変化や脳内病態を明らかにすると共に、法医学への展開を検討する。 当該年度は、脳虚血モデル神経細胞の作製し、Live/Dead Viability/Cytotoxicity Kit(Molecular Probe社製)を用いて虚血処理時間が神経細胞の生存率に及ぼす影響を調べた。まず、Wistar系ラット大脳皮質(胎仔E17)から神経細胞を単離後、初代培養細胞を作製した。その後、虚血処理:OGD(Oxygen-glucose deprivation)処理を行い、脳虚血モデル神経細胞を作製した。その結果、非OGD処理神経細胞群の生存率は98.8±1.1%であった。一方、15、30、60及び90分間OGD処理した群の生存率は、それぞれ85.3±0.7、74.8±8.1、69.6±10.2及び64.9±6.6%であった。また、90分間OGD処理後の神経細胞では樹状突起や軸索の委縮、細胞体の膨化が観察された。これらの結果から、虚血処理時間依存的に細胞障害が引き起こされている事が示唆された。さらに現在、脳虚血に伴うミトコンドリアの機能や形態の変化を調べるために、高分解能蛍光顕微鏡Delta Vision(Applied Precision社製)を用いて3次元画像解析の条件検討を行っている。今後、高精度にミトコンドリアの立体像を構築し、これらの変化が法医診断マーカーとして有用であるかについて検討する。
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Research Products
(7 results)