2011 Fiscal Year Annual Research Report
C型慢性肝炎に対するテーラーメイド治療を目指したIL28B遺伝要因の包括的解析
Project/Area Number |
22390151
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 靖人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90336694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅内 文中 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 研究員 (20405161)
近藤 豊 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (00419897)
三好 一郎 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10183972)
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Keywords | HCV / テーラーメイド治療 / IL28B / SNP / エピゲノム / IFNラムダ |
Research Abstract |
[目的]IL28B遺伝要因の基礎的・臨床的な包括的解析を実施し、テーラーメイド治療を目指す。インターフェロン治療が無効となるメカニズムを明らかにし、新規治療薬の開発に繋げたい。 [方法・結果](臨床研究)1.新規SNPsの同定:PEG-IFN/RBV併用療法への応答性に関与するIL28B遺伝子(rs8099917)以外(例外例含む)の遺伝子の探索、及びGWASにより貧血、血小板減少に関連したDDRGK1/ITPA遺伝子領域(20番染色体)のSNPsを同定した。2.IL28B、ITPA SNPの臨床的意義の検証:C型肝炎薬剤応答性のデータマイニング解析により、貧血の頻度が0%から88%まで貧血リスクにより症例を層別化することが可能であった。(基礎研究)1.IL28B遺伝子発現制御(1)IL28B遺伝子プロモーター領域に存在するSNPsの影響:(TA)_nのリピート配列が長い場合は転写活性が高く、IL28B遺伝子発現レベルも高いことがわかった。(2)エピジェネティック解析及びトランスクリプトーム解析:IL28のプロモーター近郊CpGがインプリンティングによる制御を受けている可能性が示唆された。2.IL28B機能解析:(1)IL28B特異的機能の同定:患者末梢血リンパ球を用いた基礎的検討:PEG-IFN投与による初期抗ウイルス効果には、発現増強するISGと同時に、抑制系遺伝子動態も関与することが示唆された。(2)ノックアウト(KO)マウスを用いた解析:臓器特異的なISG発現パターンを見出し、さらにIFN-λ特異的なISG候補をいくつか抽出した。 [結果]こうしたSNP情報に各種臨床情報を加えたデータマイニング解析により、テータメイド医療が実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究・臨床研究で得られた成果は、論文化し学会発表もすることができた。今後も研究を継続し、インターフェロン治療が無効となるメカニズムを明らかにし、テーラーメイド治療を目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究では、副作用に関連した新規SNPs候補の探索:IFN治療に伴う血球減少、うつ病、湿疹に関連した遺伝要因の探索を継続する。また、高感度IL28B蛋白測定系の開発を目指す。 基礎研究では、1.IL28B遺伝子発現制御:(1)IL28B遺伝子プロモーター領域に存在するSNPsの影響:(TA)_nのリピート配列が長い場合は転写活性が高く,病態進展や治療効果に与える影響を検討する。(2)エピジェネティック解析及びトランスクリプトーム解析:IL28のプロモーター近郊CpGがインプリンティングによる制御を受けている可能性が示唆されたので、そのメカニズムを検討する。2.IL28B特異的機能の同定:IFNλノックアウト細胞株(Zinc Finger Nucleasesを用いる)の作成を継続する。その際、PCRによる遺伝子ノックアウトの確認、細胞内のJak/STAT経路の機能、IFNλ特異的レセプターの発現、細胞増殖等をチェックし、IFNλ機能解析に対する影響の有無を確認する。
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