2010 Fiscal Year Annual Research Report
腹部大動脈瘤におけるアドレノメデュリン・マスト細胞の意義と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
22390161
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 助教 (10389570)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Keywords | アドレノメデュリン / マスト細胞 / 炎症 / 外膜 / マクロファージ / トラニラスト / サイトカイン / コラゲナーゼ |
Research Abstract |
腹部大動脈瘤は動脈硬化を基盤として60歳以上の高齢者に発症する難治性疾患であり、有効な内科的治療は存在しない。腹部大動脈瘤組織では、本研究代表者等が発見したアドレノメデュリン(AM)がマスト細胞に高濃度局在している。また、我々はマスト細胞の機能制御により動脈瘤の発症・進展を抑制できる可能性を明らかにした。本研究では、腹部大動脈瘤の血管壁、特に外膜に存在するマスト細胞由来AMの腹部大動脈瘤の発症・進展機序に関する病態生理学的役割を明確にする。さらに、AMによる外膜の炎症機転の制御を主眼にした腹部大動脈瘤の内科的治療法の基盤を確立するための基礎的・臨床的研究を推進する。 腹部大動脈瘤の発症および進展における血管壁のAMが善玉であるのか悪玉であるのかを明確にするため、遺伝子改変AM欠損マウスとアポリポプロテインE遺伝子を欠損されたマウス(Apo EKO)マウスの交配を行い、両遺伝子の欠如したダブルノックアウトマウスの確立に成功した。本モデルを解析することで、AMの動脈瘤発症における病態生理学的意義が明らかになると思われる。 また、手術時に得られた大動脈瘤組織標本に関して、炎症の程度を鏡検で評価するとともに、マスト細胞の分化や成熟に関わるstem cell factorやその受容体であるc-kitのリン酸化を検討した結果、マスト細胞の活性化が動脈瘤発症の引き金になって、マクロファージが活性化されることが動脈瘤の発症進展に重要であるが明らかとなった。現在マスト細胞とマクロファージの培養細胞を用いて、両細胞間の細胞間情報伝達に関して検討を進めている。さらに、既に拡大した動脈瘤に対してもマスト細胞制御により治療効果があるかどうかの検討を塩化カルシウム塗布によるモデル実験にマスト細胞膜安定化剤(トラニラスト)を投与して検討している。
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Research Products
(6 results)