2011 Fiscal Year Annual Research Report
腹部大動脈瘤におけるアドレノメデュリン・マスト細胞の意義と新たな治療法の開発
Project/Area Number |
22390161
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴田 敏博 宮崎大学, 医学部, 助教 (10389570)
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Keywords | 血管作動性ペプチド / 炎症性サイトカイン / 血管外膜 / 老化 |
Research Abstract |
動脈硬化や動脈瘤の進展において、「血管外膜」は新生血管増生などを介して炎症の持続や血管リモデリングに積極的に関与している可能性が示唆される。また生理活性ペプチドであるAdrenomedullin(AM)は血管内皮細胞において抗炎症作用や抗酸化作用を有しており、動脈硬化や動脈瘤の進展制御も期待される。我々は加齢に伴う動脈硬化進展における血管外膜の炎症と血管壁の構造変化について、通常食で飼育したApolipoprotein(Apo)E-/-マウス(動脈硬化モデルマウス)、AM^<+/->マウスを用いて、週齢別(16、32、52週齢)及び大動脈部位別(弓部、下行、腹部大動脈)に検討した。野生型と比較するとAM^<+/->マウスは形態的な違いは明らかでなかった。ApoE-/-マウスは52週齢の腹部大動脈外膜側にマクロファージ、Tリンパ球、CD31陽性血管数が著増し、これらはプラーク/中膜面積比と正に相関した。また、52週齢のApoE-/-マウスの腹部大動脈中膜内エラスチン含量は有意に減少し、血管周囲径は他の部位に比べて拡大していた。ケモカインであるregulated on activation, normal T cell expressed and secreted(RANTES)はプラークのみならず外膜の炎症細胞に分布し、52週齢のApoE-/-マウスの腹部大動脈で特に増加した。これらの結果から、加齢に伴う血管外膜の部位特異的な炎症細胞浸潤は、組織中サイトカイン・ケモカイン産生を介して血管の構造変化に寄与している可能性があることが示唆された。 また、腹部大動脈瘤モデルマウス(アンギオテンシンIIを皮下投与し作成)を用いて形態的な評価を行ったが、ApoE-/-マウスとAM^<+/->ApoE-/-ダブルノックアウトマウスにおいて、腹部大動脈瘤の発症頻度、腹部大動脈径、腹部大動脈外膜に集積する炎症細胞浸潤等、いずれも両群間で違いは明らかでなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アポEノックアウトマウス、AMノックアウトマウスの産出を継続的に行い、解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
培養マクロファージや血管内皮細胞を用いてRANTESの炎症増幅や細胞外基質の破壊の機序について検討する。また、ヒトの腹部大動脈径と血中RANTESやAM濃度の関連について検討し、拡張性血管リモデリング、大動脈瘤のバイオマーカーとしての有用性を調べる。更に、腹部大動脈瘤モデルマウスにおいては、AMペプチドを持続投与することで大動脈瘤形成の頻度や程度に影響しないか、組織学的、分子生物学的評価も踏まえて解析する。
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