2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞感受性分子の網羅的プロテオーム、ゲノム解析による疾患発症機構の解明
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22390162
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
尾崎 浩一 独立行政法人理化学研究所, 循環器疾患研究チーム, 上級研究員 (50373288)
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Keywords | BRAP / 心筋梗塞 / SNP / 関連解析 / 炎症 |
Research Abstract |
心筋梗塞(MI)関連分子BRAPに結合する分子の探索をさらに進めると同時に、結合が確認できた分子群のそれぞれをコードする遺伝子を含むゲノム領域においてタグ一塩基多型(タグSNP;連鎖不平衡の関係により選択した代表SNP)を選択し、MIのケース・コントロール関連解析を施行した。一次スクリーニングとしてMI患者由来および一般人由来DNAそれぞれ約1,000例についてタイピング、統計解析を行い、有意なSNPについては再検証としてさらに独立のケース・コントロールサンプルをタイピングして解析を行った。ここで再現性がとれたSNPについてはさらに異なるサンプルセットを用いたタイピング、統計解析を行うという計3ステップの関連解析によりその確実性を追求した。その結果、新規結合分子をコードする遺伝子内に存在するSNPはすべてのサンプルセットにおいてカイ二乗検定でのP値が0.01未満を示し、全体を合計するとさらにMIと強い関連を統計学的に示した。この分子は細胞内に存在し、機能としては炎症関連分子の安定性等に関係することがわかっている。BRAPのタンパク構造にはE3ユビキチンライゲースドメインがあり、これはプロテアソーム系を介したタンパク分解に関係すると考えられることから、この分子とBRAPが相互作用することにより炎症関連分子の分解や安定性等に関係している可能性が示唆される。今回発見したMI関連分子のどのような機能(あるいは発現)変化がMIに関連するのかは責任SNP(遺伝子機能や発現等に影響を与えるSNP)を詳細なSNP探索やその連鎖不平衡解析等により今後同定する必要があるが、今年度の研究によりMI関連分子BRAPとタンパク機能的に関係がある分子がまた遺伝学的にMI感受性であることが発見され、このカスケードの疾患発症、進展における重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規BRAP結合分子をコードする遺伝子内のSNPがまた遺伝学的に心筋梗塞感受性であることを発見しており、疾患の発症、進展にこの分子カスケード分子の質的、量的な変化が確実に関連していると考えることができるため。
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Strategy for Future Research Activity |
新規MI感受性SNPゲノム領域のSNP探索やそのケース・コントロール関連解析、連鎖不平衡(LD)解析を詳細に行い、統計学的に最も有意なSNPおよびそれとLDにあるSNPを割り出し、SNPの機能解析を進め、どのSNPが遺伝子の機能にどのように影響を与えているかを確認するとともに、この分子の発現あるいは機能変化により炎症の程度等がどのように変化するか等、培養血管平滑筋細胞等を用いてさらに精査していく。
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Research Products
(1 results)