2011 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓における新規の血圧調節機構WNK-NCCシグナル伝達系の解明
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22390168
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
頼 建光 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 准教授 (80334431)
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Keywords | WNKキナーゼ / 偽性低アルドステロン血症II型 / Na-Cl共輸送体(NCC) / OSR1 / SPAK / 遺伝子改変マウス / 高血圧 / 遺伝性高血圧 |
Research Abstract |
野生型WNK4の生理的意義を明らかにするため、WNK4 BACトランスジェニックマウスを作成し,解析した。WNK4の発現量に応じてLow copy群,High copy群に分類しそれぞれの血圧,採血,腎でのタンパク発現量を検討したところ、WNK4発現量に応じて有意な血圧上昇を認めた。また採血ではHigh copy群で代謝性アシドーシスを支持する所見を得,腎におけるOSR11SPAK,NCCのリン酸化は,いずれもWNK4の発現量増加に応じて著明に亢進していることが確認された。このことから野生型WNK4トランスジェニックマウスは偽性低アルドステロン症II型(PHAII)様の表現型を呈する事が確認され,野生型WNK4がNCCに対する正の制御因子である事が確認された。 また、WNK1については、腎臓における機能は不明な点が多かった。WNK1の血圧調節における生理的役割を検討するため、gene-trap法により作製したWNK1(+/-)マウス、及びPHA II backgroundを持つWNK1(+/-)WNK4(D561A/+)マウスを用意し、WNK-OSR1/SPAK-SLC12A系に着目して解析した。WNK1の発現減少は血圧や腎臓におけるWNK-OSR1/SPAK-SLC12A系への影響を及ぼさず、これはPHA II backgroundでも同様であった。一方、WNK1(+/-)マウスでは大動脈におけるNKCC1のリン酸化の減少、腸間膜動脈のトーヌス低下を認めた。このことから、WNK1は腎臓よりむしろ血管系において血圧調節に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的「WNK-NCCシグナル伝達系の解明」につき、細胞外液のイオン濃度がWNKの制御因子であること、OSR1とSPAKがWNK-NCCリン酸化刺激伝達系の構成員であること、野生型WNK4がNCCに対する正の制御因子である事、WNK1の生理的機能につき、新知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
WNK-NCCシグナル伝達系の全容解明に向け、以下のテーマにつき、培養細胞系と遺伝子改変マウスを駆使して、研究を進める。 (1)WNK4-NCCリン酸化系とインスリンシグナル系のクロストークについて。インスリンからWNK4リン酸化亢進にいたるまでの詳細なメカニズムにつき検討する。 (2)変異型WNK4が高血圧をきたすメカニズムの解明。 (3)血管のトーヌス調節におけるWNK-NCCシグナル伝達系の役割について。
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Research Products
(4 results)