2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における興奮性神経細胞死の病因的意義の検討
Project/Area Number |
22390173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郭 伸 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (40160981)
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Keywords | 神経変性疾患 / 興奮性神経細胞死 / AMPA受容体 / ADAR2 / RNA編集 / コンディショナルノックアウトマウス / tamoxifen |
Research Abstract |
AMPA受容体のCa^<2+>透過性を亢進させることで細胞死を引き起こす、RNA編集酵素ADAR2のコンディショナルノックアウトマウスを用いて、神経変性疾患における興奮性神経細胞死の病因的役割を検討した。tamoxifen誘導性にADAR2をノックアウトするADAR2^<flox/flox>/Cre-Esrl(ADEs)マウスおよびヘテロ接合体ADAR2^<flox/+>/Cre-Esrl(H-ADEs)マウスに4-OH-tamoxifenを投与した。投与後ADEsマウスの約60%がけいれん重積で3週間以内に死亡ないし重篤な状態に陥ったが、H-ADEsマウスでは25%に留まった。死亡したADEsマウス脳につきADAR2およびグリア細胞の免疫組織化学的検討を行った。ADAR2の免疫染色活性は、ニューロンの核のみにみられ、他の細胞種には認められなかったことは野生型マウスと同様の結果であった。大脳皮質、海馬、線条体、小脳、脳幹、脊髄を検討し、何れにおいてもグリア細胞の増勢がみられた。一部にADAR2陰性ニューロンがみられ、野生型マウスにおける染色性のばらつきより大きかった。生存したマウスは体重減少もなく、特にH-ADEsマウスでは重篤な行動変化もみられなかった。現在継続して飼育中であるが、長期生存後に、神経変性疾患の系統的神経変性に関わる神経経路につき、神経変性、封入体形成など、神経病理学的検索を行う予定である。また、興奮性神経細胞死が、神経細胞死に関与していることを明らかにするために、ADEsマウスとCa^<2+>依存性プロテアーゼCalpainの抑制物質であるCalpastatin(CSTN)のトランスジェニックマウスないしknockoutマウスとを交配したが、未だ目的の遺伝子型を持つ産仔は得られていないので、交配を続けている。
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