2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患における興奮性神経細胞死の病因的意義の検討
Project/Area Number |
22390173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郭 伸 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40160981)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 神経変性疾患 / 封入体 / カルシウム / カルパイン / TDP-43 / AMPA受容体 |
Research Abstract |
神経変性疾患に特異的な病理変化としてみられる封入体形成メカニズムは未解明であるが、封入体を構成する蛋白の異常な凝集がコアになると考えられている。そのメカニズムの解析のため、神経変性疾患にみられるカルシウムシグナリングの異常に着目して検討した。ALSと運動ニューロンや前頭側頭葉変性症の皮質ニューロンに出現するTDP-43陽性の細胞質封入体形成には易凝集性断片の形成がコアとなることが想定されている。ALSの分子病態モデルマウスであるコンディショナルADAR2 ノックアウト(AR2)マウスの解析から、易凝集性TDP-43断片の形成にはCa2+依存性プロテアーゼであるカルパインの活性化が特異的に関わることが明らかになり、その活性化メカニズムには未編集型GluA2をサブユニットに含むAMPA受容体からのCa2+流入増加であることが証明された。このメカニズムは、加齢に伴うTDP-43の局在異常でも同様で、マウス運動ニューロンでは加齢依存性にRNA編集酵素であるADAR2 活性低下がひき起こすCa2+透過性AMPA受容体発現を介したメカニズムによることがRNA解析、免疫組織化学的検討から明らかになった。また、運動ニューロン以外の中枢神経におけるAMPA受容体のCa2+透過性変化が神経形態に及ぼす影響をタモキシフェン誘導性にADAR2 をノックアウトしたマウスで検討したが、ニューロンからのTDP-43の免疫活性の消失はみられたが、タウ、APP、α-シヌクレイン陽性の封入体の形成はみられなかった。封入体形成には、カルパインなどの特異的プロテアーゼの活性化が必要であるが、高すぎる活性では易凝集性断片が更に可溶性断片に切断されるため封入体形成に至らないと考えられ、構成蛋白の断片化による封入体形成には、特異的プロテアーゼの至適かつ持続的活性化が必須であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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