2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22390175
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 章景 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (30378012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
祖父江 元 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20148315)
勝野 雅央 名古屋大学, 高等研究院, 特任准教授 (50402566)
飯島 正博 名古屋大学, 医学系研究科, COE特任助教 (40437041)
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Keywords | 孤発性ALS / dynactin-1 / 神経変性 / オートファジー / 線虫モデル / マウスモデル |
Research Abstract |
孤発性ALSは進行性の致死的神経変性疾患であり、現在でも有効な治療法は確立されていない。このため、孤発性ALSの病態を反映する新規疾患モデルの開発が望まれている。本研究では、ALS患者の脊髄運動ニューロンにおけるdynactin1遺伝子の発現低下を再現する動物モデルの作成と解析を行っている。このうち線虫モデルについては、昨年度までに、著明な運動機能障害を呈し運動ニューロンでは軸索変性が細胞体変性に先行することを明らかにしてきた。さらに、synaptobrevin1を共発現させたところ、軸索輸送障害が確認され、一方でautophagosomeのマーカーであるLgg1 punctaの発現が著明に亢進していることが明らかとなった。そこで、今年度はautophagosomeの軸索内輸送について検討を行った。その結果、autophagosomeは逆行性、順行性ともに輸送が障害されていることが明らかとなり、これがautophagosomeの集積を引き起こしていると考えられた。そこで、オートファジーを増強させるためにrapamycinを線虫モデルに投与したところ、運動障害の改善を見たが、autophagosomeの軸索輸送には改善が見られなかった。そこで、rapamycinに加えてtrichostatin Aを投与したところ、チュブリンのアセチル化を介して軸索輸送の改善が見られ、運動障害、軸索変性ともにほぼコントロールと変わらないほどに回復した。このようにdynactin1の発現低下に基づくALSの病態が明らかになり、治療的介入に成功した意義は大きい。一方、運動ニューロン特異的dynactin-1コンディショナルノックアウトマウスについては、30週前後よりマウスが振戦を起こし、体重減少、筋萎縮、筋力低下が進行することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
運動ニューロン特異的dynactin1ノックダウン線虫において、ほぼ完全に運動ニューロン変性と運動障害を抑制しうる治療法を開発することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
運動ニューロン特異的dynactin-1コンディショナルノックアウトマウスの解析も順調に進捗しており、今後は、線虫モデルで明らかになった病態と治療法をマウスに展開することで孤発性ALSのより一層の病態解明と治療法開発を推進する。
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