2011 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪分解と肝糖取り込みを促進させる糖尿病治療の開発
Project/Area Number |
22390184
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
武田 純 岐阜大学, 医学系研究科, 教授 (40270855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀川 幸男 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (10323370)
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Keywords | 2型糖尿病 / インスリン分泌 / 糖新生 / 肥満 / 膵島 / 脂肪細胞 / トランスクリプトーム / 液性因子 |
Research Abstract |
膵島発現の32kDa TGマウスの樹立 アデノウイルス発現系を用いた32kDa分子の腹腔内投与では、門脈は介しているものの肝での発現が主体であり、血糖低下に対する肝細胞のオートクリン、パラクリン効果の影響は否定できない。また、元々32kDa分子は膵島ESTプールから同定された分子であるので、膵島由来の分泌効果を検討することが必要である。そこで、ヒトインスリン遺伝子プロモーター下にヒト32kDa分子遺伝子を発現させたTGマウスを作出し、同分子の血中濃度を指標としてスクリーニングを行なった。ゲノムのタイピングでは14ライン、血中測定できたラインは10ライン作出された。現在交配を行なっており、次年度に現データの確認解析を進めていく予定である。 高脂肪食負荷のSHP-/-マウスの代謝学的解析 前年度にLRH-1ヘテロ欠失マウスを用いて効果の検討を行った。SHPはLRH-1の共役分子であり、FXRと共に胆汁酸代謝を介して、肥満を含めた病態に関与する。そこでSHP経路での影響も解析するために、欠失動物を作成して脂肪負荷の表現型を解析した。14%の脂肪成分を含む高脂肪食をSHP-/-マウスに負荷し、体重変化に加えて、耐糖能、脂肪肝の有無、血清脂質について検討を行った。驚くべきことに、高脂肪食負荷の欠失マウスでは、野生型に比して肝臓への脂肪蓄積は見られず、しかも野生型マウスに比べ血清コレステロールも低値であったが、血清中性脂肪は高かった。一方、脂肪食負荷により引き起こされる体重増加や耐糖能異常は不変であった。この背景として、SHP標的であるPPAR-γの発現低下が一部関与すると推定している。 次年度では、上記機序の解明に加えて、LRH-1ヘテロ欠失マウスと共に、新たに作成された32kDa TGマウスとの交配により、病態モデルにおける同分泌蛋白の生理作用を解析したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変のモデル動物を3系統樹立した。当初の研究計画よりも多くの遺伝子について作成した結果、関心遺伝子の発現レベルの要件を満たす1系統の確立に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
32kDa分子による肝糖取込みの作用増強を正常個体レベルでの検討を継続するとともに、病態モデルでの解析を併せて試みる。その結果として、新たな血糖調節機構の可能性を提案する。また、2型糖尿病患者の血中レベルでの変動についても解析を行うことによって、臨床診断マーカーとなる可能性についても検証する。
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