2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療における残存・耐性化機序の解明と克服に向けた基礎研究
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22390192
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
直江 知樹 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50217634)
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Keywords | 分子標的治療 / 残存 / 耐性 / がん薬物治療 / キナーゼ阻害剤 |
Research Abstract |
研究の目的 本研究では、造血器腫瘍に対する分子標的療法後の残存・耐性化機構を理解しそれを克服するため、系統的かつ複眼的な研究を推進する。 実績 本年度は、(1)急性前骨髄球性白血病における亜ヒ酸耐性機序として、PML-RAPAキメラ転写因子におけるPML部分の点変異が関与することを耐性臨床例での検討から明らかにし、亜ヒ酸治療がPML-RAPA蛋白のPML部分を標的とした"がん分子標的薬"であることを世界で始めて示した(BLOOD 2011)。(2)イマチニブ治療において、新たな耐性変異K294RGGを見いだし、その臨床的な意義を明らかにするとともに、日本の白血病研究グループJALSGでの耐性・再発Ph陽性白血病における変異の実態調査を行った(Leuk Res 2011)(3)細胞内セグナル分子に対する新たな標的剤を国内メーカーと共に開発し、その作用機序がSTATをJAKキナーゼ非依存的に抑制することを明らかにした(米国血液学会2011口頭発表)。(4)慢性骨髄性白血病におけるイマチニブ治療によって、白血病幹細胞が残存する機序について研究を進め、BCR-ABLキナーゼ阻害がされているにもかかわらず細胞周期停止がその原因であり、mTOR阻害剤の併用が克服できる可能性を示した(Blood Cancer Journal 2011)。 来年度 今後は骨髄ニッチに細胞周期停止細胞が集積する機序や、幹細胞を標的としたヘッジホッグ阻害剤について、その作用機序、各種細胞株および臨床検体(ex & in vivo in NOG mice)に対する抑制効果、糖代謝その他への影響を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NOGマウスを用いた移植系における実験のみ進行度が遅い。その原因は、骨髄内白血病細胞からのレザーマイクロダイセクションによる切り出し切片からのRNA抽出がうまくいかないことにある。原因を確かめたところ、骨髄標本の脱灰中に、RNAが分解する可能性が明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
脱灰・固定を行わず、骨髄からの押し出し標本で代用できるので、問題ない。
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Research Products
(5 results)