2010 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1 bZIP factorによる炎症・免疫異常機構と関連疾患
Project/Area Number |
22390193
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
|
Keywords | ヒトT細胞白血病ウイルス1型 / HTLV-1関連脊髄症 / 成人T細胞白血病 / 制御性Tリンパ球 / Foxp3 |
Research Abstract |
我々はHTLV-1マイナス鎖にコードされるHTLV-1 bZIP (HBZ)遺伝子がHTLV-1病原性発現で中心的な役割を担うことを明らかにしてきた。本研究ではHBZのHTLV-1関連疾患における役割を研究している。 1) HBZはTGF-b/Smad転写経路を強力に活性化した。HBZと活性化Smad,抑制性Smadとの結合を解析したところ、活性化Smad2, 3と結合することが示された。次にp300阻害活性を有するE1AはHBZのTGF-b/Smad転写経路活性化を抑制したことからHBZによるTGF-b/Smad転写経路活性化にp300が関与することが明らかとなった。HBZのactivationドメインが活性化に必須であり、bZIPドメインはむしろ抑制に作用することが示された。Foxp3は制御性Tリンパ球のマスター遺伝子であり、HBZトランスジェニックマウスでは制御性Tリンパ球が増加することが報告されている。マウス及びヒトナイーブTリンパ球にHBZを発させるとFoxp3の発現が増加し、TGF-b存在下では、その発現が著しく亢進した。HBZによるTGF-b/Smad転写経路の活性化が、その機序であることが示された。 2) HBZトランスジェニックマウスにおけるFoxp3発現は安定ではなく、Foxp3陰性のTリンパ球に変換するとインターフェロンガンマの産生が亢進することが示された。このインターフェロンガンマが炎症を惹起していることが予想される。 3) HAM患者・HTLV-1キャリア末梢血リンパ球の解析から制御性Tリンパ球にHTLV-1感染細胞が多いことが示された。
|