2011 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1 bZIP factorによる炎症・免疫異常機構と関連疾患
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22390193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
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Keywords | HTLV-1 / レトロウイルス / HTLV-1関連疾患 / HBZ / 免疫異常 |
Research Abstract |
1)HTLV-1感染者では細胞性免疫不全が存在することが知られているが、その機序は不明なままであった。我々はHBZトランスジェニックマウスに単純ヘルペス2型(HSV-2)あるいはリステリア菌を感染させ、その排除が障害されていることを見出した。その原因としてCD4陽性Tリンパ球におけるインターフェロンガンマの産生障害を同定した。その機構としてHBZがNEAT,AP-1経路を抑制しCD4陽性Tリンパ球のインターフェロンガンマの産生を障害することを明らかにした。 2)ATL細胞株におけるTGF-β経路の活性化を解析したところ、多くのATL細胞株でTGF-β経路の活性化が認められた。HBZはTGF-β/Smad転写経路を強力に活性化した。 3)HBZによるTGF-β/Smad転写経路活性化に意義を探るためにTGF-β/Smad転写経路により活性化される遺伝子群へのHBZの効果を解析した。マウスナイーブTリンパ球にHBZをレトロウイルスベクターにより発現させた。HBZを発現したTリンパ球においてPDGFB,SOX4,CTGF,FOXP3,RUNX1,TSC22D1などのTGF-β/Smad転写経路により発現が活性化する遺伝子の発現が上昇していた。我々はHBZトランスジェニックマウスでは制御性Tリンパ球が増加することを報告している。マウス及びヒトナイーブTリンパ球にHBZを発させるとFoxp3の発現が増加し、TGF-β存在下では、その発現が著しく亢進した。HBZによるTGF-β/Smad転写経路の活性化が、その機序であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、これまで不明であったHTLV-1感染による細胞性免疫障害の機序を初めて明らかにした。この研究によりHTLV-1関連疾患の病態解明が大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でHTLV-1感染細胞が炎症を引き起こす機序が明らかになりつつある。特にFoxp3陽性細胞から陰性細胞への変換により炎症誘起性Tリンパ球の出現をHBZが促進していることが明らかになっており、この新知見の機序を解析し、新たな知見に結びつけたい。
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