2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗アポトーシス分子アナモルシンの機能解析と造血における役割
Project/Area Number |
22390194
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
金倉 譲 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20177489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水木 満佐央 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (80283761)
織谷 健司 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (70324762)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60346202)
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Keywords | アナモルシン / 造血幹細胞 / 造血支持細胞 / 鉄硫黄クラスター |
Research Abstract |
本研究は、申請者らが単離したアナモルシン(AM)の抗アポトーシス作用や細胞増殖促進作用の分子機序ならびに、正常造血における詳細な役割や造血障害の発症機構との関連を明らかにすることを目的とする。本年度はAMが胎生期の造血に及ぼす影響について解析を行い、以下の結果を得た。1. AMの遺伝子発現は、胎生9.5日(E9.5)の卵黄嚢、E10.5のAGM領域、及びE14.5のFLいずれにおいても成体骨髄と同程度認められ、さらにE14.5FLでは、造血幹細胞を含むLSK細胞や前駆細胞など未分化な細胞でその発現レベルが高く、Ter119, Gr-1などの分化マーカーを発現している細胞では発現が低下していた。2. E14.5AM-/-マウスのFLでは、正常(AM+/+)マウスFLと比較して、LSK細胞数が約1/3に減少しており、コロニー形成能が著明に低下していた。さらに同系移植の系を用いてLSK細胞の骨髄再建能について評価した結果、AMノックアウトによりCRUの頻度が約1/4に低下していた。3. E14.5AM+/+あるいは-/-マウスFL由来のストローマ細胞と、LSK細胞とを共培養し、得られた浮遊細胞のコロニー形成能を比較した結果、AM-/-由来のストローマ細胞と共培養することにより、AM+/+LSK細胞のコロニー形成能が低下し、一方でAM+/+由来のストローマ細胞と共培養することによりAM-/-LSK細胞のコロニー形成能が部分的に回復した。以上の結果から、AMは胎生期の造血において、未分化な造血細胞の維持や増殖だけでなく、ストローマ細胞のもつ造血支持能にも重要であることが示唆された(投稿準備中)。 最近、AMのyeastのhomologであるDre2が鉄硫黄(Fe-S)クラスター形成に必須であることが報告されている。Fe-Sクラスターは、細胞内のエネルギー代謝、細胞周期制御、DNA修復等に関わる様々な酵素活性に重要であることから、今後は引き続きAMと細胞内機能、さらには造血障害の発症機構との関わりについて、Fe-Sクラスター形成の観点から検討を行う予定である。
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Research Products
(59 results)